無職転生Ⅲの第6話「修羅場、再び?」は、小説版でルーデウスの人物像を深める役割を果たした負けヒロインのサラと、家庭を築いたルーデウスが再会。タイトル通り大人になった二人に修羅場は訪れず、過去に決着をつける。第1ヒロインにして第3ヒロインのエリスを迎える地ならしをするバトン回だ。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
ラノア王女の護衛を依頼されたロキシーに、ルーデウスも同行することに。そして共に護衛を担当することになった冒険者パーティ「アマゾネスエース」に意外な人物の姿が。それは、かつてルーデウスが行動をともにしていた冒険者パーティー・カウンターアローのサラだった…!ルーデウスは彼女と言葉を交わすが…。
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6話のアバンは、ルーシーをあやすルーデウスから。「笑顔のルーシーほどかわいいものが、この世に存在するのだろうか」と親バカ全開のところへ、乳母となったスザンヌがやってくる。ルーデウスの下からエリスが去った後に所属した冒険者パーティの「カウンターアロー」に所属していた彼女が、今や編み物をしながらルーシーを見守る。

スザンヌの亭主であるティモシーはあやすのをやりたがらないらしい。父親の自覚が足りない、とティモシーをけなすルーデウスに、スザンヌは「変わったね」と返す。
話の流れでサラの話になり、スザンヌに「会って話すなら早いほうがいいよ」とたしなめられるルーデウス。「俺から話すことは特にはないので」と逃げ腰だ。
あやしているところに、リーリャとゼニスが登場。ゼニスがルーシーの空腹に気づいたような素振りを見せる。前回の笑顔に続き、回復の兆候を少しずつ提示していく。これは後にゼニスが主役となるエピソードで得られる絶望への地ならしと、最終章で明らかになる事実による希望と、両方への伏線だ。
サラからの逃避
Aパートは、ラノア王女とアリエル様の護衛に、ロキシーとルーデウスが加わるところから。先任の護衛は、女だけの冒険者パーティ「アマゾネスエース」だ。補充要員を巡って揉めながら入ってきた最後尾にサラがいる。「……あんただったの」。表情を消し、吐き捨てる寸前の声である。

ここで2期3話「急接近」の破局までが回想される。ルーデウスはエリスに捨てられたと思い込み、好意を向けてくれたサラと関係を進めようとして失敗。ルーデウスが吐いた悪口を聞かれ、「……最悪」と置いていかれた。完全なる修羅場だった。

護衛が始まると、ロキシーは火魔術と治癒魔術でさっそく実力を見せる。転移迷宮を踏破した冒険者であり、魔法大学の教師だという噂は本当だったと感じ入るウルスラ。最初はロキシーを子供扱いしていたアリサも態度を一変させ、「お姉さま」と慕い始める。俺もロキシーからお兄さまと呼ばれたい、と羨むルーデウスである。

一方、話しかけようとしてきたサラからは、名前を呼ばれる前に逃げるルーデウス。「あのさ、ルーデ……」に被せて、「俺が食事用意します! 戦闘では役に立ってないですし!」とその場を去ろうとする。あからさますぎて、表立ってキレないサラが聖人に見える。

二人の様子を見て、このままでは埒が明かないと見たアリエル様、道中で見かけた黄色い実が食べたい、と白々しく言い出す。行こうとするサラに、ルーデウスとフィッツを連れて行かせようとすると、シルフィはルディだけで十分、とかわす。
「大丈夫です、彼なら逃げません」。妻に先回りされて、ようやく自分が逃げていたと気づくルーデウスだった。
二回目の「変わったね」
Bパートは、果実を探す二人の会話から。「冒険者、続けてたんだな」に「それ、どういう意味?」と噛みつくサラだが、カウンターアロー解散後の話をするうちに、かつての距離感が戻ってくる。スザンヌとティモシーは結婚して引退、パトリスは兵士を目指し、サラはパーティを転々としてA級まで来た。それぞれの人生が実を探す描写を背景に会話劇として語られる。
先に謝るのはサラだ。別れた後でルーデウスの病気を知り、自分ばかりが傷つけられたと思って彼を悪者にしていた、と打ち明ける。対するルーデウスは、「たぶん、あの頃、サラのこと、そんなに好きじゃなかったと思うんだ」と正直ではあるが、まあひどい言いようだ。
エリスに捨てられた穴を埋めるため、好意を寄せてくれたサラを「とりあえず次」にしようとした。うまくいかず、傷つけられた側へ逃げ込んだ。サラが正直に来た以上、自分だけ耳ざわりのよい嘘で返すわけにはいかない。これは残酷さではなく、今のルーデウスなりの誠実さである。
だから返ってくるのが、「あんた、変わったね」。アバンのスザンヌと同じ言葉だ。昔なら嘘でもそんなことは言わなかったし、こんな気安い口調で話してくれなかった。二人とも、敬語で本心を隠していた頃のルーデウスを知っている。同じ言葉を重ねることで、ルーデウスの変化を確定させていく。

ルーデウスは、シルフィとロキシーに救われたことを話す。シルフィは不能を治そうと寄り添い、ロキシーはパウロを失って潰れた自分を立たせてくれた。二人が自分を好きだからではなく、それ以上に自分が二人を好きだから一緒にいる。サラは「そこかな、私があんたに好きになってもらえなかったのは」と、自分で恋の決算を済ませる。
そして「勘違いしないでよね! 私の恋はあの日に終わったの!」。当然、よりを戻す気はない。ただ昔の仲間として普通に接してほしい。それで十分だ。
和解後の戦闘では、かつてのパーティ時代のようにルーデウスとサラが連携してトゥレントを倒す。女剣士の回転斬りの効果音が妙にSAOっぽくて、ちょっとニヤリとしてしまった。

なお、この第十話「修羅場、再び?」はWeb版には存在しない。Web版は「誕生会」から「卒業式」へ直結しており、サラとの再会も和解も丸ごと書籍版の追加である。変わったね、と言わせるために、過去を清算するために、後から一話を足した。映像化に耐えるだけの脚本にするには必要だった加筆と言える。
エリスを迎える地ならしED
サラを見送った後は、そのまま特殊EDへ。シルフィに好みの女性を聞かれ、ルーデウスは「どうやら俺は、俺の窮地を救ってくれる子を特別に思うらしい」と答える。だからシルフィとロキシーは特別で、これ以上妻を増やすつもりはない、と。
これにシルフィが返す。「僕はルディが特別だって思える人で、その人もルディを特別だと思えるなら、二人とか三人いてもいいと思うんだ」。ただし、次はちゃんと自分たちの前へ連れてくること。ルディを好きでもないのに妻になろうとする子は許さないこと。許しというより、第三夫人の加入予告である。


ルーデウスの脳裏に浮かぶのはエリスだ。
「俺は彼女に捨てられた。けど以前ルイジェルドは言った。きっとそれは勘違いだと」。原作でもエリスを示唆する場面だが、アニメ版はルイジェルドの言葉を持ち出し、流れを明確にした。もはやエリスを拒む構造上の理由はない。
剣王エリス
で、これで終わりかと思いきやCパート。剣の聖地では、剣神ガル・ファリオンがジノ、ニナ、エリスに、剣聖と剣王の違いを問う。ニナは「欲望」、エリスは「覚悟よ」と答える。「そいつは違うな」と笑われても、「違わないわ。覚悟よ」。剣王になれなくてもいい、強くはなりたい、でも呼び名なんてどうだっていい。目的は称号ではなく、その先にいる龍神とルーデウスなのだからブレない。

この場面は原作14巻の間話「新たなる剣王の誕生」。書籍版では14巻末だが、Web版では次回の「第四段階」の直後に置かれている。アニメ版はそれをさらに一話前へ出し、特殊EDで思い出させたエリス本人を即座に登場させた。ルーデウス視点の問いに、剣の聖地から回答を返す構成である。
エリスとニナの立ち合いは一瞬。エリスが北神流の技術で威力を速度へ回した横薙ぎを合わせる。敗れたニナに剣神が「お前はまだ伸びる。精進しろ」と告げると、返事は「はい、父さん」。原作では、久しぶりに師匠ではなく父と呼んだ、と地の文で説明される。

そしてエリスには剣王の称号が授けられる。呼び名なんてどうでもいいと言った者が剣王となった。
次回は「第四段階」
次回は原作13巻の第十二話「第四段階」。今回の本編は13巻第十話と第十一話の冒頭、Cパートは14巻の間話を前倒ししたものだ。書籍版では遠く見える剣王決定戦も、Web版では「第四段階」の直後。順番を一つ入れ替え、エリスを先に見せたアニメ版で、次はルーデウス側の段階が上がる。





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