SAO アリシゼーション WoU 第23話 最終回「ニューワールド」ネタバレ感想 新世界

完走お疲れさまでしたの女神回

SAO アリシゼーション WoU 第23話 最終回の「ニューワールド」は、キリトとアリスの物語。アスナの存在感は控えめに、一本筋を通しながら完走したお疲れ様回だ。エンディング後のおまけもうれしい。

ネタバレ回避のあらすじは以下。

凛子から和人へ、アリスが失踪したと連絡が入る。焦る和人はラース六本木支部へと向かおうとするが、家を出ようとした矢先に玄関のインターホンが鳴る。慌ててドアを開けると、ひとつの大きな段ボールをもった配達員。段ボールの送り状には「海洋資源探査研究機構」と明朝体でタイプされ、宛先欄には和人の住所と氏名がぎこちない筆跡で記されていた。

STAFF
脚本:中本宗応
絵コンテ:小野学
演出:佐久間貴史(st.シルバー)
総作画監督:鈴木豪、山本由美子
作画監督:森前和也、久松沙紀、たかはし隆子、TOMATO、世良コータ、茂木眞一、板垣彰子、武佐友紀子、みうらたけひろ、徳岡紘平、丸山大勝、古住千秋、鈴木豪、山本由美子

マルチ!、マルチじゃないか!!

アバンはスタッフクレジット付き。前回の最後、和人のスマホに映った凛子さんからの電話のシーンから話が始動する。

和人が電話を取ると、アリス失踪との知らせが。慌てて玄関を出ようとするキリトだったが、ピンポーン、と呼び鈴の音が響き渡る。

まさか…アリスが?と勢いよくドアを開けたら、普通に宅配便のお兄さんだった。海洋資源探査研究機構からという荷物を受け取り、開封してみるとなんだかよく分からない緩衝材に包まれたものが。

雑な梱包 by AI

ん~?と目を凝らすと、こちらを見る目が、顔が!

ほら、怖くない

思いっきりビビり倒してのけぞるキリトさんの手を、荷物の中から出る手がつかむ。そう、最初の予想通りのアリスさんでした。

原作だと手足バラバラで梱包されてきたのだけれど、アニメ版では単に縮こまっているような描写だった。まあ、放送できないからね。これ、密室トリックの一つで、荷物に紛れて外に出るというやつです。

桐ヶ谷家で恋を唄うAIアリス

OP曲無しのアバンが終わり、Aパート。家庭用AC100VのローゼットにACアダプターを刺して充電中のアリスさん。DC充電なのか。原作だと100V直結だけどね。アニメ版では電源内蔵で省電力化が進んでいるようだ。

キリトと直接言葉を交わしたかったから、と突然の着荷訪問の理由を話すアリス。「私は怒っているのです!」と、感情をほとばしらせるともう止まらない。

最終決戦時の果ての祭壇で、永遠の別れになるかもしれないとキリトが言ってくれれば、アンダーワールドから離脱せずに、ガブリエル戦でともに戦ったのに! アリス・シンセシス・サーティという存在は、キリトにとって何だったのか!!と、思いをぶつける。あくまで騎士として。

本懐

あ、でもアリスの声、少しだけマシンボイスっぽいノイズというか、圧縮音源のひずみというか、そういう処理がされているねこれ。

キリトにとってアリスは「希望」であり「未来」なのだという。アニメ版では特に言及されないが、キリトはSAOのアインクラッドで散った仲間も含めた、VRMMOによる人類の未来を漠然と感じている。

一方アリスは、不自由な鋼鉄の身体で、尽きることのない淋しさの先に、未来などあるのか、とキリトさんの胸に顔をうずめる。

アンダーワールドのみんなの願いが報われる時が必ず来ると信じている。というキリトさんの説得に、あっさり立ち直るアリス。これ、アニメ版だと説得で気が晴れたような描写になってしまっている。原作だと、「長い、長いあいだ沈黙を続けた」だからね。沈黙で逡巡を表現するのは尺が決まっている以上難しいのだけれど、ここは時間リソースをアリスに全振りしてほしかった。

アリスの素顔と「わ」の是非

凛子さんに連絡を入れると、しばしの休暇をもらえるとのこと。むしろ凛子さんが申し訳ないと思っているというわけで、一晩の外出許可が出る。

リアルワールドの伝統的建築物を見たいというアリスを、桐ヶ谷家の道場に案内するキリトさん。アンダーワールドでいう修練場、ということで竹刀を使った試合が始まる。

真剣勝負の面持ちで竹刀を打ち合うと、簡単に折れて互いに激突。アリスさんは機械ですので、SEは「ゴーン」です。

遅刻ちこくぅ~

「決まりては秘奥義、鋼鉄頭突きよ」

そう言って倒れこんだままキリトさんに頬を寄せ、迷いが吹っ切れたかのように「この世界でも生きていけるわ」と告げるアリス。剣を振れる限り、私は私なのだと。

素顔

なんというか、このあたりのアリスは、声質が違うんだな。整合騎士としてのアリスではなく、元のアリス・ツーベルクが成長した時のような。その効果は絶大で、素顔を声で表現している。

個人的に最大の懸案であった、

「この世界で生きていけるわ」「まっすぐに進んでいくわ」

という、Web版にも原作にもあった「わ」の語尾が気持ち悪い問題が解消しているのには驚いた。今日日わなんて言わないだろうよと思っていたので、アニメ版では「わ」を抜くのではないかと期待していたほどだ。

ここの「わ」。結局、アニメ版でも両方アリだったものの、それほど違和感は無かった。素のアリスが出ている、という演出に受け取れなくもない仕上がりになっていたように思う。

直葉ファンはここだけ見て

そして家族との団らんwithアリス。キリト父は、聞いておきたい言葉がある、とキリトさんに真剣にうながす。心配をかけてごめん、と謝罪したキリトさんは、進路をアメリカ留学から東都工業大学に進学し、海洋資源探査研究機構に就職したい、と自身の考えを明かす。

このキリトの言葉に、目を輝かせるアリス。海洋資源探査研究機構は、アンダーワールドの運営体だ。

想い人がアンダーワールドに関わる人生を選んだ時の顔です

いきなり「お父様」とキリト父に呼びかけ、自身が騎士の道を選んだことが父様に許されなかったこと、それを後悔していないことを話し、キリトさんの進路に口添えするアリスさん。

このお父様呼ばわりの下り、

アリス「お父様」

直葉「お、おとうさまっ?」

お父様=お義父様
真剣に聞く、というより敵意が見て取れてしまう直葉さん(写真右)

はい、ここ最高です。

キリト父は、和人は既にこの世界でも英雄なのだから、とキリトさんの考えをを受け入れる構えを見せる。そうだろう、黒の剣士、と。SAO本である「SAO事件全記録」を読んでるからね両親とも。そりゃ読むよね。

実在のアンダーワールドサーバー(AWS)

Aパートのささやかな日常が終わり、Bパート。寝入るキリトさんの部屋に侵入する不審者ことアリスのシーンから。おそらく直葉のTシャツを着たアリスによると、謎のメールが来たのだという。時計は午前3時。完全に未明である。

文面はまるで暗号。

【白き塔を登りて、かの世界へと至る。
第二修練場.媒体保管庫.元老院.地理記録室」

とある。

暗号解読のためにユイを呼び出すキリトさん。文面から、セントラルカセドラルのフロア名称だということを見抜く。アリスさんが階数を読み上げ、すぐにIPアドレス「52.68.96.58」に変換。アドレス3桁だったらどうするのよ、とは思ったのと実在のアドレスだったらまずいでしょ、とちょっと心配に。ちなみに原作だと階数はぼやかされている。

で、実際にアクセスしてみたら、AWSのアジアサーバー、東京に無いけど東京データセンターのIPアドレスだった。ページタイトルは「Our memories are right here.」。私たちの思い出はここにある、という感じだろうか。なかなか開かなかったが、しばらくするとキリトとユージオ、アリスの幼少時のイラストが表示された。

星界歴582年、飛竜は機竜となった

アンダーワールドのサーバー、すなわちオーシャンタートルへのアクセスラインを示す可能性が高いIPアドレスを手に入れたキリトさん達。深夜ではあるものの、早速行動に移ろうとする。

そこで「アスナも連れて行っていいかな?」と言い出すキリトさん。顔を引きつらせながら、何があるか分からないから戦力は多い方がいい、と言うアリスだった。

午前3時過ぎなんだが、アスナさんも叩き起こして旧ラースの六本木支部に。たまたま凛子さんが詰めていたので、キリトとアスナはSTLでアンダーワールドにログインする。アリスは人工フラクトライトなのでつなぐだけだが。

アリスはケーブル接続

ログインすると、そこは…宇宙? 星界に浮遊する3人。面喰いながら別の方角を見ると、アンダーワールドらしき惑星の姿が。

帰還を宣言すべく、アリスがアンダーワールドに向けて、

「私は、ここにいます!」

と言い放つや否や、至近で戦闘が。宇宙で?

なぜかいきなりの宇宙戦闘。宇宙怪獣と戦闘とかトップかよ?

現れたのは、整合騎士、じゃなくて整合機士のスティカ・シュトリーネンと、同じく整合機士のローランネイ・アラベルが操る機竜。はい。それぞれティーゼとロニエの7代目の子孫です。

ティーゼです
ロニエです

敵は神話級宇宙獣のアビッサル・ホラーとのこと。触手付きのバックベアーな感じ。神話級なのにたった2機で戦闘とか階級がよく分からない。神話級って最下位なのかしら。

神話級でなくとも押されそうなたった2機での戦闘で、分の悪い戦いを進めているとキリトさん達が助太刀に現れる。

まさか剣で戦おうというの?と怪訝な声を出すスティカ。そりゃスティカとローランネイは宇宙服来てるからね。キリトさん達は心意マスターなので、たぶん身の回りを風素とか熱素で覆って宇宙服にしてる。

生身のまま何をするのかというと、キリトさんが剣でリリース・リコレクション。青薔薇の剣での凍結からの、夜空の剣でアビッサル・ホラーを両断。

続くアスナさんはオーロラを放っているのでプラズマかな?、と思いきや物理攻撃のメテオだった。無限地形操作の効果音が入るがもはやアカウントの権限関係ない気がする。

止めを刺すのはアリス。剣は言わずと知れた金木犀の剣である。砕けた竹刀のうっ憤を晴らすかのように、範囲攻撃でアビッサル・ホラーを粉砕。金木犀の剣から花弁が飛び出していくエフェクトの音は最高なので、これはうれしいキメだった。

範囲攻撃に強い。多兎につよそう

ちなみに原作では、「心意計」なるものが機竜に搭載されており、キリトさんとアスナさんの攻撃でメーターが振り切れ、アリスの時点でぶち壊れてます。ボンッ、とかベタでもいいから欲しかった。

最後はユージオの幻影に涙するティーゼ。えー、最後までユージオさんなのはちょっと…

万策尽きた感がついに… エンドカードもこれでややつらい

エンディングは、スタッフロールと幼少時のキリト、ユージオ、アリスの止め絵がバックというシンプルなもの。やはり総力戦だったのだ。この止め絵、原作とほぼ同じ構図なのでファンサービスとしては意外性が無かったのだけれど、やはりアニメでは見たことが無い終わり方を観たかった。

キリト2と茅場の暗躍

最終回ならではのCパートは、アンダーワールドへの通信手段が確立された舞台裏の種明かしだった。

海底に横たわるニエモンの手がつかむのは、海底ケーブルだ。単にケーブルをつかんでいる絵だけなので分かりにくいが、海底ケーブルを敷設したうえで光ファイバを圧着している。

さらに比嘉のアパートの一室で動くキリト2の人工フラクトライトの模様が差し込まれる。説明足らなすぎで読者サービスにしか見えないが、要するにオーシャンタートルへのアクセスラインは茅場とキリト2によって実現したのだ、ということです。

キリト2

SAOプログレッシブの映像化を特報

締めは原作と同じ、知性間戦争への布石をスクロールメッセージで見せ、Kirito will return.の言葉で終わり。

ん、どう返ってくるのよ、という答えは、その後の特報で明かされた。

まずはプログレッシブか~。

この後、原作ではキリトとアスナの200年を描いたムーン・クレイドル編とユナイタル・リング編が続く。ムーン・クレイドルは完結済みだが短めの外伝だし、時間軸でアリシゼーション編から2カ月後のユナイタル・リングはまだ続刊が刊行中だ。

アリシゼーション編で新規参入のユーザーが多かったとして、プログレッシブをやるのは良いタイミングなのかもしれない。アクセル・ワールドに続いていく大きな流れはひとまずお休みで、SAOリブートといったところか。

と思ったら、2021年公開の劇場版だった。星なき夜のアリア、と副題が付いているが、プログレッシブの冒頭をたっぷりやるだけなんだろうか。特報の作画はオーディナル・スケールを超える出来を予感させる。

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