無職転生Ⅲの第7話「第四段階」は、リニアとプルセナの卒業で始まり、甲龍王ペルギウスのチラ見せで終わる進路決定回。日常から次なる戦いへのナナホシの研究だけでなく、卒業する者、仕事を始める者、生徒会へ入る者が、それぞれの日常を脱して次の道へと踏み出していく。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
ラノア魔法大学の卒業式、リニアとプルセナが卒業生として出席。ナナホシは別世界からの物体召喚の研究に邁進し、ノルンはアリエルから生徒会に誘われるなど、ルーデウスの周囲の人たちも次第に次の道へと進んでいく。そんな中、ナナホシがルーデウスにある提案をする…。
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7話のアバンは、ラノア魔法大学の卒業式から。リニアとプルセナが卒業証書を受け取り、OP曲「芽吹の唄」にバックに卒業式が進んでいく。送り出すアリエルやフィッツたち生徒会、ノルンやロキシー。学園編を一区切りとする送別の場だ。

ザノバとクリフまで立ち上がって拍手するのを、ルーデウスが意外そうに見つめる。リニアとプルセナに散々振り回された二人だが、卒業となれば話は別。過去の因縁にとらわれない二人の気質をサラッと描写するシーンと言える。
リニア vs. プルセナ
Aパートは、卒業式の後も研究室にこもるナナホシから。棚には試行錯誤の跡らしい魔法陣の紙が並び、本人は目の下に疲れをためている。そんなところへリニアとプルセナが現れ、「顔を貸せ」とルーデウスたちを連れ出す。

行き先は、2期7話でルーデウスが二人を叩きのめした中庭。二人は故郷へ帰れば族長の座を争うことになるため、今のうちにどちらが上か決めるという。リニアは商売を始めるから帰らないと言うが、プルセナに負けたままなのは嫌らしい。要するに、卒業記念の喧嘩である。

決闘の火ぶたを切る悪口合戦をし始めたところ、本質的にお互いを嫌う理由が出てこない。基本は仲がいい。夜中にトイレへ行けなかった、寝小便をした、男に色目を使ったと幼少期の暴露合戦になり、見守る四人の顔からも「それで戦うの?」が漏れている。原作13巻では、二人の言葉に憎しみはなく、喧嘩を始めるために昔話から無理やり嫌いになる材料を探している、と説明される。アニメ版はその地の文を、だんだん小さくなる悪口と周囲の冷めた表情へ置き換えた。
それでも戦いが始まれば本気だ。ルーデウスは土魔術でゴングを作って鳴らし、ハンマーをマイク代わりに実況を始める。原作にもボクシング風の実況はあるが、ゴングとマイクはアニメ版の視覚ギャグ。友人同士の真剣勝負を、すっかり見世物にしてしまった。

本気の人から正論
そこでナナホシが問う。「どうしてあなたは、そんなにふざけていられるの?」。帰還のために体調を崩すほど研究に打ち込むナナホシと、何に対しても一歩引いて茶化せるルーデウス。二人とも元は同じ日本にいたのに、この世界へ向ける本気の濃度は対照的だ。

前世で本気を出せなかった自分を知るルーデウスには、思い当たるところがありすぎるはずだ。本気を出さない者ほど、本気で何かをしている者を茶化す。ナナホシの一言は決闘への苦言であると同時に、転生前から続くルーデウスの逃げ癖を言い表している。
結局、勝ったのはプルセナ。さすが犬…じゃなかったアドルディア。治癒魔術を断り、「名誉の負傷」と傷だらけの姿で立つ。一方、敗れたリニアも商売への意気込みを寝そべったままルーデウスに言い放つ。
ここで感じる嫌な予感は、かなり先になってから当たるので、今のうちに門出を祝っておこう。リニア、基本はアホである。

別れ際には、ザノバが壊されたロキシー人形の件を水に流し、リニアも素直に謝る。原作にはないアニメ版の追加で、2期7話から残っていた因縁を卒業前に片づけた形だ。
しんみり別れた直後、乗り合い馬車で包帯だらけの二人が鉢合わせし、また喧嘩を始める。別々の道へ進んでも、最初の一歩までは同じ馬車だった。

キャベツを狙ってスイカ
Bパートは、ナナホシの召喚実験。ルーデウスが額縁状の魔法陣へ魔力を注ぐと、フィットア領転移事件の直前に見た記憶がある光が現れる。魔力供給を躊躇するルーデウスだが、今度は人も土地も消えず、魔法陣の少し上にスイカが現れ、ストンと中央へ収まった。狙ったキャベツではないが、異世界から野菜を呼び出す第三段階は成功である。

祝賀会には、卒業したリニアとプルセナの代わりにロキシーとノルンがいる。酔ったロキシーはルーデウスの膝を指定席にし、シルフィも笑って自分もとねだる。

その光景を見ていたノルンは、デレているルーデウスに釘を刺すことはなく、アリエルから誘われた生徒会へ入ってよいか相談し始める。成績は平均でも人を引きつける力がある、というのがアリエル様のノルン評だ。
ルーデウスは、剣術に勉強に生徒会と、どれも中途半端になるのではと心配する。ところがノルンはすでに一年ほど生徒会を手伝ってきたという。剣術も文章も勉強もこなしたうえで、さらに仕事を増やしてきた。できるかどうかを相談するのではなく、できるようになってから報告に来るのがノルンのノルンたる所以である。

第四段階、その先は甲龍王
第三段階を終えたナナホシは、次に特定の物を狙って召喚する第四段階へ進む。その前に、協力のお礼としてルーデウスの願いを一つかなえたいと言う。実に義理堅い。この義理堅さは3期の最終盤面で効いてくるので、その布石でもある。

ナナホシが提案するお礼は、ある魔術師の紹介。長生きしているので、記憶を失ったゼニスを治す手掛かりになるかもしれないという。
ザノバはナナホシ殿の師匠の話であるか、応じると、俺も漏れもクリフも話に乗ってくる。他言無用とナナホシが紹介するのが、召喚魔術に通じる甲龍王ペルギウスである。

誰もが知る、400年前のラプラス戦役においてヒト族を勝利に導いた魔人殺しの三英雄の名。そのペルギウスが使役する精霊と住まう空中城塞の姿を描いたところで、「第七話 第四段階」のタイトルコールで今回は終わり。卒業、継承、生徒会、召喚研究と、全員がひとつの区切りをつけたところで、物語自体が次の段階へと進む。
次回は「空中城塞」
次回は原作14巻の第一話「空中城塞」。今回の本編は、13巻第十一話「卒業式」後半と第十二話「第四段階」を一話に再構成した。Web版では第百四十二話「卒業式」と第百四十三話「第四段階」に当たり、書籍版だけの大きな変更はない。
学園で出会った友人を送り出し、ナナホシの研究は一段上へ。そしてルーデウスは、空に浮かぶ城で甲龍王と会う。別れの回の次は、飛翔に向けた新章の始まりになる。





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