ベルクーリとアドミニストレータの「果て」とは
ソードアート・オンライン(SAO)アリシゼーションのWar of Underworld第14話「無限の果て」は、アドミニストレータ様とともに無限とも言える時を過ごしたベルクーリが散る、第1回に続いて息切れ無しの神回だ。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
押し寄せる米国人プレイヤー軍に対し、少数ながらも勇猛に戦う《人界》軍とアスナ。だが絶望的な戦力差を覆すことは叶わず、《人界》軍の兵士たちは次々と倒れていく。満身創痍となったアスナもいつ倒れてもおかしくない状況だった。アスナが状況の打破を狙い、決死の覚悟をしたそのとき、《ALO》からの援軍を率いてログインしてくるリズベットの姿を目撃する。
https://sao-alicization.net/story/?id=14
STAFF
脚本:漆原虹平
絵コンテ:中山奈緒美、菅野芳弘
演出:濱崎徹
総作画監督:鈴木豪
作画監督:古住千秋、チョン・ヨンフン、世良コータ、監物ケビン雄太、久松沙紀
アクション作画監督:菅野芳弘
冒頭は13話のラスト、現実世界から日本人プレイヤーがアカウントコンバートで参戦する続きから始まる。
クライン、エギル、リズベットにシリカ…ALOからの援軍
満身創痍のアスナの前に、ALOメンバーから成る援軍が続々と到着する。その姿を見て、アンダーワールドのアカウントではなく、ALOからのコンバートアカウントだということが分かり驚くアスナさん。アスナはスーパーアカウントでのログインだが、コンバート組はリズベットの演説にあったように、アカウントロスト・片道切符の可能性が高い。
しかしアンダーワールドの危機を誰が知らせ、援軍の到着へと至ったのか。疑問に思うアスナだが、トップダウン型AIのユイちゃんだと聞いて納得する。
SAOは、実はボトムアップ型AIとトップダウン型AIの優劣を付けてはいない。もちろん、作品世界の中の人間はアリスこそ本物のAIとして評価し、比嘉などはユイを従来型AIと呼ぶ。確かに、ライトキューブとフラクトライトという量子脳こそ人間の魂と変わらない次世代の存在、という世界観だ。
だが、アリスとユイに本質的な違いはあるのか。ここをはっきりさせないところが、SAOが輝きを失わない理由の一つだろう。
ちなみに、レンリと挨拶するリズベット達を見て、現実世界とアンダーワールドの交流が始まった歴史的な瞬間だと感じるアスナさん、という描写はアニメ版ではサラッと流している。原作補完が無ければ、安堵の表情以外を見いだすのは難しいだろう。
MMOのレイドで沸き立つアスナさん
ここで指揮官らしく、援軍の数を確認するアスナさん。リズベットは2000ちょいと答える。それで十分、ヒールを厚くしよう、と指揮を執るアスナさん。自らは、アカウント消失の可能性が無い強みを前面戦闘力に最大限投射するべく、援護を得ながら前線に切り込む。
問題は、アンダーワールドにはショックアブソーバーが無いため、回復即前線復帰、という戦い方が難しいこと。ヒーラーによって痛みは消えるが、痛みの記憶は消えない。アドミニストレータ様の英知が分かりますな。アニメ版では心が折れる描写は省かれている。
オーシャンタートルでキリト復活の糸口が見つかる
場面変わって、オーシャンタートル。
ALOプレイヤー2000人をコンバートでアンダーワールドに送り込んだ比嘉タケルは、キリトさんのフラクトライトがわずかに活性を示したことに気づく。
ログの記録時間を見ると、創世の三女神、アスナ、シノン、リーファがアンダーワールドにダイブした時刻と一致していた。
そのロジックは、失われたキリトの主体は、客体として周囲の人間にある、ということ。キリトを深く広く知るその3人によってフラクトライトが活性化したという事実に、キリト復活の可能性を見いだす比嘉。しかしその操作ができるのは、敵制圧下にあるメインコントロールだけ。ただ回線だけ奪えば何となるので、メインシャフトにある点検口を目指す比嘉だった。
囮として、階段を上るのがやっとのイチエモンを使おうとする。菊岡はニエモンも、と言い出すが、バランサーが無い今のニエモンでは無理、と比嘉。Web版ではフラクトライト搭載が前提のために無理、ということになっている。バランサーとは、人間のことだ。
その男の名は、ヤナイ
比嘉に護衛を付けようとする神代凛子の提案を、比嘉が却下する。ここで手を挙げたのは、ラース研究員の柳井だ。ヤナイ。871。はい。
ベルクーリ vs. ベクタ の決着
ベルクーリ-ベクタ戦の続き。今回の作画リソースはここに全振りかと言わんばかりに動く。ここだけ線が濃い。時穿剣の裏斬に賭けるベルクーリ。飛竜の星咬がベクタに一撃を与え、その隙にベクタの10分前の居場所を特定するベルクーリ。裏斬を発動させ、ベクタを葬る。
Web版だともう少し詳しい補足があって、この世界では全フラクトライトの10分間のログが記録されている。アドミニストレータの下で500年の時を生きたベルクーリは、そのログにアクセスする裏技にたどり着いていた。神の領域なため実戦では封印してきたものの、アリス救出のためにためらいなく使っている、という背景がある。
ベクタに勝利したベルクーリだが、深手を負い絶命する。気が付いたアリスが見たものは、眼前で跪くベルクーリ。号泣するアリスを、上空から魂として見やるベルクーリだった。
アドミニストレータの騎士
ここでこんどこそ最後の出番か、アドミニストレータ様が登場。「やっぱり生きていたのかよ」と話すベルクーリだが、これは「思い出」と返すアドミニストレータ様だった。
さっき比嘉がオーシャンタートルで確信していたように、フラクトライトには第三者のセルフイメージのバックアップが存在する、という事実を補完する描写でもある。
ベルクーリに手を引かれ、星咬に乗って二人で昇天していく。特殊エンディングに突入する。
「記憶の中のあんたが、そうやって笑っていられてよかったよ」。「私を恨んでいないの?」と聞くアドミニストレータ様に、「面白い一生だったさ」とベルクーリ。最後に、人界軍のファナティオに「子を幸せにしてやってくれ」と声を届けて去って行く。
次回は「扇動」
特殊エンディングの終了後、Cパートが始まる。アンダーワールドからログアウトしたガブリエルは、ヴァサゴが死に戻りして再ログインした、と聞いて得心したように自らも再ログインを希望する。ヴァサゴと同じく、自らのSAOアカウントをコンバートして。
次回は「扇動」ということで、アンダーワールド大戦はさらに戦火を広げていく。Web版ではややダレた印象があった下りだが、さてアニメではどうなるか。
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