物語は、リアルタイムに進行する
ソードアート・オンライン(SAO)アリシゼーションのWar of Underworld第17話「悪魔の子」は、キリト覚醒を願うアスナ、シノン、リーファの祈りが段階的に高まるさまを続けざまに見せつつ、アニメオリジナル要素のオーディナル・スケール組の参戦を織り交ぜたジャンプ回だ。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
《ALO》増援軍による攻勢も息切れし、ついにアスナたちはヴァサゴと中国人・韓国人プレイヤー軍に敗北してしまう。廃人状態のキリトを見つけ出したヴァサゴは、車いすを蹴り倒して挑発するが、キリトの意識は戻らない。その状況に激怒したクラインはヴァサゴにつかみかかるが、敵プレイヤーに押さえつけられてしまう。クラインをせせら笑いながら《友切包丁》を振り下ろそうとするヴァサゴ。そのとき、思わぬ人物が現れる。
STAFF
脚本:中本宗応
絵コンテ:古田丈司
演出:山田晃
総作画監督:鈴木豪
作画監督:世良コータ、木村行隆、古住千秋、前田達之、久松沙紀、山崎展義、チョン・ヨンフン、中田知里、板垣彰子、中野繭子、あおやぎ、監物ケビン雄太、鈴木豪
作画監督補佐:久野紗世
アクション作画監督:丸山大勝
旧SAOサーバーから
さてどのシーンから、と思ったらアンダーワールドを取り巻くネットワークを監視中のユイさん。中韓からの接続が相次ぐ中、見慣れないアクセスを検知する。どこから?と思っていると、「旧SAOサーバーから」と驚くユイさん。前回のラスト、Cパートで出てきたSAOサーバーが映る。
SAOサーバーはWeb版や原作では登場しなかった。これはアニメオリジナルの新要素なのでは…?
PoH vs. キリト にさらなる援軍
軽く謎を引きずったまま、キリトさんのシーンへ。車いすのまま引きずり出されたものの、ピクリとも動かないキリトさんを責めるPoH。本当に楽しそう。そっとしておいて、と叫ぶアスナさんだが、PoHは当然そんなことは我関せずでキリトを引き倒し、青薔薇の剣をもてあそぶ。
青薔薇の剣を奪われたキリトは、わずかに反応を見せる。だがそこまで。このままPoHに蹂躙されるのか…と絶望の中立ち上がったのはクライン…ではなかった。おや?
そこに現れたのは…エイジ!…って誰?となるがオーディナル・スケール組の登場だ。
なんとまあ当たり前だが、歌姫のユナまで。これは熱い。CV:神田沙也加なので別格である。ここだけマクロス、というわけではなく、ユナが存在するという事実を目の当たりにして、日本サーバーだということに気づく中韓プレイヤーたち。そうなの?この辺り、アニメ版では全員ほぼ日本語しか話さないのでいまいちすっきりしない。
劇中歌「longing」でエイジのバフをてんこ盛りにするユナさん。SAOっぽいエフェクト、シノンのヘカートIIのようにイメージで出しているんだろうか。
エイジはSAOの攻略組、血盟騎士団のノーチラスと名乗り、PoHに切りかかるも「知らねぇなぁ」とばっさり。そうですね。私も知らなかったです。
原作の展開に戻るBパート
CM明けのBパートは、エイジの腕を両断し、とどめを刺そうとするシーンで暗転。PoHの過去シーンに入る。
少年時代、母親に「悪魔の子」とののしられ、父親に腎臓のドナーを強要されるヴァサゴ。腎臓はキリトっぽい面影の兄に移植される。次回以降のネタバレになるので書かないが、キリトに似ている感じにするのはわざとなのかね。反発力を高めるための。
ちなみにヴァサゴは悪魔の名前。Web版や原作では直接的な名前ではなかったため受理されてしまったとの説明がある。そんなこんなで、日本人め…っ!と恨みを募らせるヴァサゴ。
それから幾年月。デスゲームと化したSAO事件の報道を見て、ブラックマーケットからナーヴギアを手に入れるヴァサゴ。初回ログイン時に「Prince of Hell」と入力してから「PoH」に短縮、SAOのアカウント名にする。
回想シーンが終わると、割とあっさりエイジとユナはPoHに撃退され、Web版/小説版の元の展開へ。世界線の修復怖い。エイジとユナ、退場です。完全にサービスシーンだな。
そのさなか、ヴァサゴはラフィンコフィンの紋章から殺人鬼として認識され始める。では中韓プレイヤーは目を覚ますかと思いきや、ヴァサゴの扇動スキルで互いに殺しあう始末。これ、ヴァサゴの願いでもある。
シノン vs. サトライザー 続
シノンとサトライザーの戦闘はここだけGGO。シノンがソルスの長弓を基に作り出した対物ライフルのヘカートII、サトライザーがボウガンから生成した対物ライフルXM500の対決になっている。
互いに射線を一致させ、弾を弾でそらしながら攻撃する。武装の装弾数のカウントから、自らの負けを察するシノン。相手が2発多かった。残弾の一発で右足を、残りの一発で胸を仕留められる。
リーファ vs. 米プレイヤー 続
一方リーファは、無制限回復のスキルがあるも、中韓プレイヤーに絶え間なく斬られ、突かれ、刺され、無限の痛みに苛まれる。
さらに左目を槍が直撃。これはWeb版でもそうだったので違和感は無いが、血が噴き出すの劇場版エヴァでは?
シノン vs. サトライザー 完
最後の一発で、心臓を撃ち抜かれた…かと思いきや、キリト由来の心電計ペンダントでまたも守られる。
気力を取り戻したシノン。サイトライザーに向け、ソルスの弓としてのヘカートⅡを放つ。
最後の一撃はサトライザーの右腕を持っていったが、そこまで。サトライザーはシノンを打ち捨て、飛竜で飛び去る。アリスを追うのだね。
リーファ vs. 米プレイヤー 完
貫通系の攻撃で現実世界からのログイン組を薙ぎ払い続けるも、いよいよ精魂が尽きようとするリーファ。多勢に無勢でどうにもならない。
「頑張ったよね、お兄ちゃん」でシーンを終える。
細切れにシノンとリーファの戦闘を見せることで、物語の中で同時に起こっている危機をリアルタイム性のある映像として意識させようとしているのか。
STLの接続に成功する比嘉
アスナ、シノン、リーファのキリトへの想いを積み重ねたところで、キリト覚醒に向けてキリトのSTLに三女神のSTLを接続しようと敵地に向かった比嘉パートへ。
コード871さんこと柳井が比嘉に向けた銃のトリガーを引くか引かないかのところで、凛子さんがモンキーレンチで乱入。重力加速度ぶんのエネルギーを得た鉄塊の落下に衝撃を受けた柳井は、足を踏み外してメインシャフトの下に落下。これは完全に絶命。Web版/小説版ではレンチは柳井の脳天に直撃するので、罪悪感薄めの仕上がりになっている。まあ、当たるのはでき過ぎなのでこれは良い改変。
先にノートPCを落としたせいで撃たれてしまった比嘉の傷は思いのほか深かったようで、這う這うの体でSTLの接続作業に移る。キリトさんのSTLに、アスナ、シノン、リーファ、三女神のアカウントを操る各STLがつなげられていく。
キリト覚醒の決め手は?
アスナ、シノン、リーファのフラクトライトイメージ、アンダーワールド内での祈りをもってしても、なお眠り続けるキリト。
そこに、青薔薇の剣から「キリト…」とユージオの声が。場面変わっていきなりの学園シーン、お約束の「なんだ…夢か」で今回はエンド。
三女神の願いが一点に集まる演出の妙
今回は通常エンディングで、そのまま予告。タイトルは「記憶」だ。学園の中で、アンダーワールドでの記憶を思い出していき、いよいよ覚醒する回になるはずだ。
しかしリーファさんのロンギヌスの槍の後に学園だと、これ完全にエヴァでしょ。意図していないのかもしれないが、没入感をそがれた。
原作では、シノンやリーファの戦いはそれぞれまとまっている。アニメ版はシノンとリーファをリアルタイムにカメラを切り替えるかのように同時並行で描写することで、キリトへの祈りの時間軸を揃えてみせた。この素晴らしい演出をそのまま受け止められなかったのは残念だ。
次回のカタルシスはすごそうだ。
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