俺ガイル完 第5話「しみじみと、平塚静はいつかの昔を懐かしむ。 」ネタバレ感想 いろはす回…かな

雪ノ下雪乃の復活

俺ガイル完の第5話は、八幡と雪乃の何度目かの始まりとそれを傍観するいろはす、という三角関係を、原作以上の完成度で演出して見せた神回だった。「知らんがな」。

ネタバレ回避の5話のあらすじ。

しみじみと、平塚静はいつかの昔を懐かしむ。

脚本:大知慶一郎 / 絵コンテ:清水 聡 / 演出:戸澤俊太郎 / 作画監督:アルベルト・キエ 安本 学 平田賢一 岡本健一郎

結衣と別れ平塚の元に向かった八幡は
学校側もプロム自粛の方向になっていると聞き戸惑う。
「君はこれから、彼女とどう関わるつもりだ?」
平塚からの質問に意を決した八幡。
その向う先は生徒会室だった。八幡が提案したこととは?

https://www.tbs.co.jp/anime/oregairu/story/

平塚先生の導き

アニメ版俺ガイルは、

・元のセリフを割愛することはあっても改変しない
・同じセリフまたはそれに相当するシーンは割愛する

という特徴がある。Aパートは、この原則に沿って進む。

由比ヶ浜と別れた八幡は学校に向かい、平塚先生から自粛という事実上の中止命令を前提に、どう雪ノ下を助けるのかを話し合う。

ここで、平塚先生は「古来より互いの正義がぶつかったときは…」とシャドウボクシングをしてみせる。

ネクタイゆるめすぎである

原作ではその先にセリフがあって「勝負で雌雄を決するものと決まっている」とまで言っている。

ここは少しアニメ組が分かりにくいような気がしないでもないが、Bパートになってその理由が分かる。大事なセリフがかぶらないように、後回しにしている。

一色いろはは胸ぐらをつかむ

生徒会室に向かった八幡を待っていたのは、いろはすだ。雪乃に会おうとする八幡をブロックし、場所を変えて話し込む

いろはは八幡に、前回ラスト付近で平塚先生が「言葉にしろ」と迫ったのと同様に、「ちゃんと答えてください」と言い放つ。原作ではその時にネクタイをグイッと引っ張るのだが、アニメ版の八幡はネクタイをしていない。なのでシャツをつかむ。

あーん?

これは、まあ、難しい。アニメ版、真冬のシーンでもネクタイはしない八幡がいきなりネクタイをする理由が無い。マフラーを巻くので、まあしない方が自然ですらある。あるとすれば三者面談くらいだろうか。だが公立上位高はそういう雰囲気でもない。なので、シャツをつかむしかない。

ネクタイを引っ張るのはちょっとこっち向け、くらいの距離感だが、シャツをつかむ=胸ぐらをつかむで、いろはすの行動力が増した感がある。単に顔を近づける、といった改変よりよほどマシだろう。

ちなみにいろはすの「ほんとにござるかぁ?」はそのまま残ってた。そういえばFGO、スカサハ(槍)を引いたので満足してしまったのか最近起動してないわ。

雪ノ下雪乃の計画は完成する

いろはすを納得させた八幡は生徒会室に踏み入る。そこには、ホワイトボードを埋め尽くす議論の後。具体的な計画が見て取れる内容だ。

有能ゆきのん

原作では、他人が読めないようなメモ、という体で、八幡がよくわからん、ということで雪乃とやり取りを重ねたうえで「で、これどれくらい勝算あるんだ?」というシーンに至る。

アニメ版ではやり取りを省いた分、ホワイトボードの内容でそこに至る必要があるため、書かれていたのは既にまとまりを見せたメモである必要があった。

この改変は、雪乃の有能描写につながっている。プレプロムで八幡と結衣にビデオの被写体になることを依頼したシーンとは逆の効果を感じた。

一色いろはは、その場で逡巡する

ここで八幡は、雪乃に「助けたいと思ってる」と言葉にして伝える。その思いを拒絶された八幡は、「意見が割れたらどうするかなんて、決まってるだろ」と問い、回想シーンで奉仕部での青春の始まり、平塚先生による「どちらが奉仕できるか勝負だ!」が入る。

雪乃と八幡の会話が裏に回り、いろはすのモノローグが入る。作り笑いのような、泣き笑いのような顔で、こんなのほとんど告白だ、と。

原作では、八幡が去ってからの、生徒会室で雪乃と二人になってからのモノローグだ。ここは、同時に複数の登場人物を描ける映像のメリットが最大限出ている。むしろ、原作者がアニメの脚本を書くなら、初めからこうしたのではないか、というほど完成している。

さらに凄みがあるのは、原作では、雪乃が勝負に乗ってくるとは思わなかった、と言った八幡が「なぁ?」といろはに同意を求めた際の反応が変わっている。知らんがなとばかりに肩を竦めるだけだった原作のいろはは、アニメでは言葉にするのだ。

「知らんがな」

知らんがな

ですよね。八幡と雪乃が勝負だなんだと自分そっちのけで話している最中に振られても、そりゃ知らんがな。

ダメ押しに、モノローグのめんどくさいで、紙コップを握りつぶす。この描写は原作には無い。そうだ。俺たちのいろはすは紙コップを握りつぶす(ただし空の)。

めんどくさい…っ!

Cパートで、雪乃は変わる

今回はCパートがある。ここで目が行ったのは、原作とは違うメガネと目薬の扱いだ。

雪乃はこれまで、外界遮断モードの時はメガネをかけていた。アンダーリムのやや変わったデザインのやつ。置いても傷がつかなくて便利なのよ、とか言いそうな。

アニメ版では、八幡との対決を決めた後、PCに向かう際にメガネに手を伸ばそうとしてやめる描写がBパートラストに入っている。

手を伸ばしかけて、やめる

このシーン、原作ではいろはす視点で描かれる。いろはは、PC作業に没頭する雪乃を見て、いつも掛けているメガネをしていない雪乃に気づく。その後に目頭を押さえ、目薬を刺す雪乃を目にする。雪乃がメガネをしない理由について、特にいろはす視点の感想はない。

わざわざ雪乃の行動の変化を見せてきたアニメ版をどう読むか。おそらく、これまでメガネという防護具を付けてしか向き合えなかった八幡に対して、それ無しで対峙できるようになった雪乃の心境を示す記号なのだろう。

また、雪乃にとっては自覚的ではなく、何となくしたくなかった、のかもしれない。ブルーライトカットのメガネで見ていた暖色の世界を、青いまま、ありのままに見て前に進みたい、ということだったのかもしれない。

目薬の役割も変わったように見える。

アニメ版は、いろはすのモノローグで終わる。目薬を刺し、頬をつたう目薬とそれを拭く雪乃。その姿を振り返りざまに見て、泣いているように見えた、というモノローグで。

前回のラスト、由比ヶ浜結衣の涙との対比でもある

八幡との勝負が、始まりではなく終わりを意味する以上、涙を流さずに泣いている風の雪乃。その雪乃の気配を察知したいろはが、それを確信して終わる、というのがアニメ版の構造だ。

来週は材木座回…か?

5話で始まった俺ガイル最終章の中編。13巻の3分の1が終わった。

次回は「あらためて、比企谷八幡はかたりかける」。予告でも出たが材木座の登場である。原作者に愛されてるよな…アニメ版では割愛されがちだけど。

癒し担当の材木座義輝である

おそらく、遊戯部の二人も割愛されちゃうんだろうな…

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