ソードアート・オンライン アリシゼーション 第21話「三十二番目の騎士」感想

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アドミニストレータの笑みに全振りか

ソードアート・オンライン アリシゼーション(SAO) 第21話「 三十二番目の騎士」は、さまざまな感情がないまぜとなったアドミニストレータの笑みを堪能できる回だった。ネタバレ回避のあらすじは以下。

キリトとアリスの前に立ちふさがったのは、《シンセサイズの秘儀》を受け入れ整合騎士となったユージオだった。動揺するキリトだが、アリスの叱咤を受けてどうにか彼と全力で戦うことを決意する。互いにアインクラッド流の剣技を繰り出しながら、キリトとユージオの斬り合いは激化していく。戦いの中でも、キリトはユージオに懸命に語り掛けるが……。

ソードアート・オンライン アリシゼーション 第21話「三十二番目の騎士」


脚本:木澤行人
絵コンテ・演出:中重俊祐
総作画監督:山本由美子
作画監督:徳岡紘平、伊藤公規、前田達之、浅井昭人、水野辰哉、山本真夕子、久野紗世、武佐友紀子、熊川ありさ、山本由美子

https://sao-alicization.net/story/21.html

今回は、整合騎士となったユージオとの対戦の続き。「いつか追い抜かれるだろうって、そう思ってた」とユージオを認めつつ、いまだ発動したことのない技を繰り出すキリトさん。ところが難なく受け止められた挙句に、ユージオのバースト・エレメントで吹き飛ばされてしまう。つよい。

なぜか超つよいユージオ

この状況を見て、「整合騎士になったばかりにしては戦い慣れし過ぎている」と冷静に分析するアリス。さすがボトムアップ型汎用AI。自分、なんかこう呼ぶのがはばかられるぞ。この気持ちがアドミニストレータとキリトを分かつものだな。

見(けん)を決め込むアリス。さすがの勝負師である

され脱線したので話を戻すと、ここでキリトさんの剣の名前が明かされ…ない。「(戦いが終わったら名前を付けてやるから)」と黒剣を見つめるキリトさん。そうだった。まだ無銘なんだったギガスシダーの剣。ちなみに前に何回か書いてるけど、夜空の剣です。

なんだかんだでユージオがキリトさん未見の技を繰り出したので、その技名を聞いてみるキリトさん。ユージオはその問いに「バルティオ流」と答える。ユージオが傍付きだったゴルゴロッソ先輩の技らしい。その記憶を突くキリトさんの精神攻撃のターンで、ユージオの額に青い三角柱、パイエティモジュールが浮かび上がる。

キリトさんのセルカ、ゴルゴロッソ先輩とリーナ先輩、ティーゼとロニエ、アリス、と琴線に触れるワードを連発したのが功を奏したようで、ユージオの回想シーンが挟み込まれる。

おっ、正気に戻ったか、と思いきや、ユージオは「アリス…」とつぶやくと、「エンハンス・アーメント!」で青薔薇の剣を一閃し、キリトさんとアリスを氷漬けに。えー。

青薔薇を流れる一筋の雫。高度に発達した涙は汗と区別がつかない

結局、ここではユージオが正気に戻ったのか分からないうえに、整合騎士になったばかりなのにフルパワーな理由も明かされないまま、Aパート終了です。

アドミニストレータ三昧なBパート

CM明け、ユージオがキリトさんとアリスにとどめを刺さないことを咎めるチュデルキンとのやり取りを見せられる。猊下の命令を遂行してきますかね…と階下に降りるチュデルキン。どんな命令だ。

その後ユージオが向かうのは、アドミニストレータが座す天蓋付きのベッド。カーテンの向こうで嘲りと労りの笑みを浮かべるアドミニストレータさん。

この笑みに割かれた苦労やいかに

「ご褒美をあげなくちゃね、ベッドに入っていらっしゃい」とユージオにささやくアドミニストレータさん。その前に、ちょうど空いた記憶に埋め込んだ手抜きのシンセイサイズをし直すことにしましょう、ということで、いったんユージオの額からパイエティモジュールが引き抜かれる。

何でも改良した最新型のパイエティモジュールらしく、いきなり心意を使えるとのこと。それで整合騎士ユージオ、いきなり強かったわけね。

ここで「リムーブ・コア・プロテクション」を再度言わされそうになるユージオだが、どうも様子がおかしい。一瞬ひるんだ表情を見せたアドミニストレータに、あのカーディナル印の短剣を取り出して両手で突き出すユージオ。勝負あったかのように見えたが、貫通力ゼロ。

アドミニストレータさんの胸、いろいろ防がれてる

不完全なシンセサイズがどう功を奏したのか考えてみる。まず、親の愛に飢え、アリスを失う恐怖を感じ続けていたユージオの記憶の隙間に、手っ取り早く挿入。負の感情の記憶の部分、弱い部分だけを狙って素早くシンセサイズを終えたとする。

だが正の部分、キリトさんとアリスとの思い出は失われておらず、カーディナルに託された短剣をアドミニストレータに突き立てる最近の記憶は残ったままだったのだろう。正気に戻る余地があった、という演出が回想シーンに込められた意図ということになる。Web版ではリムーブ・コア・プロテクションを唱える前に正気に戻ってしまうので、このあたりの描き込みは新鮮だ。そしてよく練られている。

短剣の一撃は、アドミニストレータが持つ金属属性への耐久効果で防がれる。ところが本体以外へのダメージ自体は通ったのか、服とカーテンという耐久力低そうなオブジェクトが消滅。ちょっと引用しにくい絵面が続く。

ユージオに永遠の愛、永遠の支配を説くアドミニストレータ。それを可哀想な奴め論法で切り返すユージオ。

10分ぶり2回目の笑み。こっちは嘲りと諦めと…安堵も入っているかしら

ここで自動化元老機関によるアリスへの強制シンセサイズをちらつかせ、ユージオを煽るアドミニストレータさん。せめて同じ思いをしてみたら、と通報級の煽りをかましたところで、ブチ切れユージオの全力特攻をシールドで受け止める…が受けきれずに突破を許す。

アドミニストレータさんのビビり顔を拝めるのはユージオ様のおかげ

とはいえ本体は無傷。どうも青薔薇の剣の属性に気づいた様子を見せるのだが、それくらいアドミニストレータなら分かっていてほしい。ちょっとシステムを整理すると、所有権の無いオブジェクトはコア・プロテクション有効時は自由に情報を閲覧できないし、操れないということなのかしら。root取ってもSELinuxに阻まれるみたいな。

そうこうしているうちに、チュデルキンが階下から上がってくる。一緒にキリトさんとアリスも参戦。ユージオとの再会を果たす。Web版だと、あの整合騎士アリスと肩を並べるキリトさんへの軽い嫉妬が描かれるが、ここでは純粋に再会を喜んでいるように見える。

コード871?

反逆したアリスを前に、「イレギュラーユニットの影響なのかしら」とキリトの出自を分かっているアドミニストレータさんがささやく。何かいいたいことがあるのかしら、と話を振られたアリスは、整合騎士団の壊滅を告げ、アドミニストレータに公然と反旗を翻す。

「あの者が施したコード871を解除したのかしら」と独り言が大きすぎるアドミニストレータさん。これをキリトさんが聞き、「コード871?右目の封印のことか」と分かりやすい伏線を引いていく。絶対の自信があるゆえのガードの低さ、ということなのかもしれないが、いくらなんでも説明し過ぎである。

伏線として機能しまくりの10話

アリスの不敬にキレたチュデルキン、アドミニストレータの伽を褒賞に求め、承認されると神聖術の詠唱に移る。アンダーワールドでは指の数が同時に発動できる神聖術の上限なのだが、チュデルキンは眼も使う。Web版では、両手両足で20個のエレメントを生成してアリスに難なく躱され、その後に22個のエレメントで巨人を生成するのだが、アニメ版ではいきなりの限界突破である。チュデルキン製の炎の巨人が出来上がったところでエンディング。

次回は「剣の巨人」。最後に出てきたチュデルキンによる炎の巨人とは別のアレなので、対アドミニストレータ戦の最終段階は近い。そろそろ春だ。

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