全シーン、刮目して見よ
ついに俺ガイル完。が全力のハッピーエンド、第12話で最終回を迎えた。制作会社が異なる第1期からの伏線が見事に回収され、ともすればやりきれなさが残る原作を最高のエンディングに昇華して見せてくれた。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
脚本:大知慶一郎 / 絵コンテ:森本育郎 / 演出:佐々木達也 / 作画監督:柳川沙樹、LYU、谷川亮介、北村友幸、清水直樹、穂積彩夏
https://www.tbs.co.jp/anime/oregairu/story/
海浜総合高校と合同でプロムの開催場所を探しに
海浜公園へ向かう2人は条件にあうチャペルを見つける。
「ここでやりましょう」
プロム開催に向け動き出す2人に、協力してくれる生徒たちが集まり…。
俺ガイルが遂に完結。
雪ノ下の勝負ツインテールの変化に気が付かない八幡
アバンは、奉仕部の部室で始まる合同プロムについてお仕事する八幡と雪ノ下さんから。互いに意識しまくっている、こじらせている、その二人が会場の下見という名目でデート、なのか、デートという名目で下見なのか、もうどっちでもいいけど約束をするシーンから。
CM明け、といきたいところだが、いつもの俺ガイルゲームのCMの締めに
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完
ゲーム化決定
の告知が。えー、なにこれ動作環境がPS Vitaでも買いなおすレベル。
で、CM明け。臨海公園を歩く二人。アニメ版の第1期6話で、由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買うために八幡と雪ノ下、そして小町とららぽーとに出かけたときの髪型と同じだ。と言っているのは八幡だけなのだ。だって、
ららぽーとのとき
「いつもより高い位置で括ったツインテール」と八幡は思う。
今回
…どう見ても前の時より低い位置で括ったツインテールに見える、が八幡は前と同じという。
ダメでしょ。勝負髪型であるところのツインテールである点は同じだけれど、違うでしょ。挿絵も違うからね。日本ツインテール協会による分類では、ららぽーと版はラビット・スタイル、今回はカントリー・スタイルだから。きっと雪ノ下さん、変化付けてきてるから。はぁー、高菜、食べてしまったんですか!!!!????
単に設定ミスかもしれんがな。先に行こう。
さて次。公園を歩き回り、疲れ果てて休憩中にタピオカミルクティーをたしなむお二人。上機嫌の雪ノ上さんがいきなり八幡の腕を引き寄せて無警告自撮りという、感謝しかないシーンだ。
はい。よかったですね俺ガイル読んでいた人、見ている人。もうエンドカードでいいんじゃないかな?
そして近くのイベントスペースで結婚式を挙げる集団を見て、「ここがいいわ。ここでやりましょう」と雪ノ下さん。これに「気が早いのでは?」と突っ込む八幡。ええ、雪ノ下さんはプロムの会場として、八幡は将来の結婚式場としてコメントしてます。
全部欲しい、の無茶ぶりを実現
会場が決まり、再び奉仕部の部室。八幡と雪ノ下さんに加え、いろはす+副会長と書記ちゃん、遊戯部の二人、材木座まで参加している。これに葉山と戸部、あーしさん、蛯名さん、川なんとかさんが加わるが、由比ヶ浜の姿は無い…が一足遅れて教室に飛び込み、オールスターに。
合同プロムの準備を進め、休憩としてサウナに行く男子たち。ここで戸部が「雪ノ下さんと付き合ってたりすんの?」と八幡にド直球。原作だとどよめきが走るのだが、アニメはシーン…という感じだった。まあ驚くより凍るわ。
サウナから出た八幡をベンチで待つ、雪ノ下と由比ヶ浜、そして一色。八幡はマッ缶をあおり、ベンチの一色はプロムの曲を口ずさむ。風呂上りで疲れが出たのか、目を閉じて由比ヶ浜にもたれかかる雪ノ下だった。
全部ある…
一色と由比ヶ浜がベンチを立ち先に行くと、まだ座っている雪ノ下に手を差し伸べる八幡。
「一人で立てるのに…」
「知ってる」
良い最終回だった。え、まだAパート?
由比ヶ浜をけしかけるいろはす
Bパートは、合同プロムの準備風景から。
由比ヶ浜と一色が話しているところに、総武高校の制服を着た小町が登場する。小町が兄を探すと、由比ヶ浜は雪ノ下と打ち合わせ中の八幡の方に目をやる。「邪魔しちゃいけなさそう」と由比ヶ浜は言うのだが、これ、原作だとずっと見てたからね。好きという感情が消えることはない。
で、ここからいろはす独擅場。「別にいいんじゃないですか邪魔しても」と言い放つ。3年経つとお酒が飲めるので、その力を借りて既成事実を作れば責任取らせられると由比ヶ浜を煽る。
まあ、この3年はいろはすから見た時間経過なのですが。よく気が付く小町ちゃん、いろはすにその点を突っ込む。うるさいお米ちゃんうるさい、と受け流すいろはす。
ここの会話劇、本当に良い。小町(cv:悠木碧)が一色(cv:佐倉綾音)と掛け合い漫才ばりに「クズ同士という選択肢があったんだなぁ」「なんだこいつ」と言葉を畳みかけ、由比ヶ浜は思わず笑ってしまう。
導き手としての陽乃
合同プロムの本番、責任者の雪ノ下にははのんが声をかける。その姿は以前と違って楽しそうだ。陽乃さんの姿も見え、八幡に「覚悟決めてね」と声をかけて去っていく。
原作だと、困ったことがあったら助けてあげる、とまで言う。雪ノ下に対して最終的に逃げずに向き合った八幡を、陽乃さんが自分のテリトリーの人間として扱っていることがよく分かるセリフだ。
彼女は常に、逃げるところが可愛いが逃げるな、と八幡に言い続けてきた。問題を時に斜め上からゲームチェンジする八幡も、対雪ノ下戦では退くばかりだった。それを挑発と言う形で伝え、今の形に導いてきた「お姉ちゃん」として、結局は味方だったのだ。
一色と小町の暗躍
合同プロムの途中で、由比ヶ浜が八幡に声をかける。他愛のない会話だが「…ねぇ」と八幡に何かを言いかけた由比ヶ浜は言葉を飲み込み「まだ今度にする」と切り上げる。ここで何を言いたかったのかな?と原作では思っていたのだが、アニメ版では二人と見守るいろはすと小町のカットが挿入された。
様子を見守り、
頷き合ういろはすと小町。
まだ好きであること、を何らかの形で伝えようとしたのだろう。ただ、言葉が見つからなかった。言い訳ができなかった。で、言い訳を用意してあげます、と八幡に持ち掛けていたいろはすが、ここで奉仕部復活の決意を固めたのだろう。
さっきから合同プロム合同プロム言っているが、場を持っていってしまう幕張総合高校生徒会長であるところの玉縄さんの出番が無い。やや残念だが、原作でも無いからいいや。展開が緊迫した時の清涼剤、玉縄さんありがとうありがとう。
八幡にのしかからない平塚先生
そして合同プロムは終わり、ボールルームで平塚先生と向き合う八幡。忘れ物があった、という平塚先生は、踊るのを忘れていたと告げ、八幡とステップを踏む。
出鱈目なダンスに足がもつれ、八幡の上に倒れこむ平塚先生。原作だと完全に密着した形で転倒するが、アニメ版では手をついて身体は離れていた。これはアニメの演出の方が好きだな。
床に座り込んで「本物」について話す二人。立ち上がった平塚先生は八幡に手を差し伸べる。八幡は微笑みながら首を振って自ら立ち上がり、それでも差し出された手は握る。力のこもった握手のまま「お世話になりました」と感謝の意を伝える。
一人で立てる雪ノ下に八幡が手を差し出したように、平塚先生もそうするし、そうしてきた。雪ノ下に衒いなく手を差し伸べることができた八幡へと導いた、最大の立役者の一人だ。
去り際に「リア充爆発しろ!」という往年のスラングを叫ぶ平塚先生に「10年前のセンスじゃねぇか」とやり返す八幡。最終巻の14巻は2019年11月発売なので、時間軸がずれていない。タイミング的にも良い映像化だった。
このリア充爆発しろ!、は文字だと勢いがあって面白いのだが、言葉にすると陳腐なのでは、と心配していた。平塚静(cv:柚木涼香)は、「リィアぁじゅうぅぅ、ばぁくはつしぃろーぉっっっ!」と伸びのある叫びを見せる。陳腐どころか名シーンの一つだこれ。ああ応援だ、エールだ、と素直に受け取れる演技でハッとした。
1期オープニング「ユキトキ」へと回帰してゆくエンディング
最後のお仕事、撤収の業務連絡で、テキパキと段取りを八幡に伝える雪ノ下さん。最後に一つだけ言っておかないと、と前置いて、しばしためらった後にすっと顔を上げる。出てきた言葉は、
「あなたが好きよ。比企谷くん」
と。ここで!、アニメ1期のオープニング曲「ユキトキ」が!!!挿入歌で!!!!!
そのままユキトキをバックに、特殊エンディングに突入。新学期を迎え、葉山と海老名さんと一緒の教室にいる八幡、奉仕部の部室で残務処理をする八幡と雪ノ下さんと進んでいく。
奉仕部の部室で、八幡が雪ノ下家からの食事の誘いをはぐらかそうとしているところに、小町が乱入。「入部しに来ました!」と高らかに宣言する。
奉仕部は既に部員はおらず、はて、と思っていると、いろはすが入ってくる。懐から取り出したのは、奉仕部の創部申請書。部長欄には小町の名前、部員の欄には雪ノ下と八幡の名前がしれっと書いてある。承認印は生徒会長の角印がばっちりと押してある。
部活を始めましょう、と言う小町に「することが無い」と返す二人。奉仕部は基本的に待ちの部活で、仕事をたまに持ち込んできた平塚先生は既にいない。
いろはすの「すぐに来ますよ」と思わせぶりなセリフ。そこに来たのは、なんと由比ヶ浜さんだ!って知ってたけど、由比ヶ浜さんだ!!
このシーン、挿入歌の歌詞「光あふれる世界、もうすぐ」の「すぐぅー」で由比ヶ浜さん登場だからね。完璧でしょ。ユキトキ前提のプレスコのように映る。
由比ヶ浜さんは奉仕部への依頼として、好きな人(ヒッキー)に彼女みたいな感じの人(ゆきのん)がいて、その人(ゆきのん)が一番大事な友達(ゆきのん)で、仲良くしたい(ゆきのん)けどどうしたらいいのか?と相談を持ち掛ける。
ひるむ八幡に、澄ました顔の雪ノ下は「どうぞ掛けて。長くなりそうだから」と由比ヶ浜にお茶を差し出す。
苦笑する八幡の肩越しに、雪ノ下と由比ヶ浜を見て微笑む一色と小町のカットに続き、
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」
のタイトルバックで大団円だ。
いや良かった。今期で比較すれば、SAOアリシゼーションのアニメが最後の宇宙シーンで冷めるところ、俺ガイルは熱狂のまま終わってくれた。
これはCMで告知のあった俺ガイル完のゲーム、そこそこ売れるんじゃないかな。今は抽選参加を見送っているPS5がメインプラットフォームだったらこれから抽選に申し込むまである。
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