アスナ vs. PoH戦とキリト回想のコントラストにうなる
ソードアート・オンライン(SAO)アリシゼーションのWar of Underworld第18話「記憶」は、キリトの記憶を掘り起こす回想シーンを通奏低音に、動画と後処理でまさに閃光といった体で展開するアスナ vs. PoH戦を目玉とした神回だ。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
かつてのキリトの仇敵だったエイジの善戦も虚しく、ヴァサゴに敗れる。《アンダーワールド》のはるか南では、シノンがガブリエルに重傷を負わせはしたものの、力尽きる。《アンダーワールド》中央部で死闘を繰り広げるリーファは、米国人プレイヤー軍を全滅させたあと倒れてしまう。そしてアスナは絶望的な状況下で、地面に横たわるキリトを見つめ……。誰もが彼に最後の望みを託す。しかし《黒の剣士》は、いまだ夢の中を彷徨い続けていた。
https://sao-alicization.net/story/?id=18
STAFF
脚本:中本宗応
絵コンテ:佐久間貴史、菅野芳弘
演出:ほりうちゆうや
総作画監督:戸谷賢都、山本由美子
作画監督:みうらたけひろ、横松雄馬、武佐友紀子、TOMATO、秋月彩、山本由美子
アクション作画監督:菅野芳弘
キリトのSAO回想シーンで開始
前回の続きで、人気のない学校から本川越の自宅に帰宅するキリトさん。途中、街頭のデジタルサイネージで2022年に始まったSAOベータテストの告知映像が流れる。
帰り道でふと路地裏を見ると、そこにいるのはSAO最初の衝撃だった全滅パーティの一員、アスナさんの前妻であるサチの姿が。その存在に驚くキリトさん。
不屈の閃光、アスナ vs. PoH
CM明けはPoH(ヴァサゴ)の扇動によって仲間割れする中韓プレイヤー陣の描写から。一向に覚醒しないキリトを煽る目的で、アンダーワールド人の兵士を手にかけようとするPoH。アンダーワールド人は本質的に人と同じ。助けようと心を奮い立たせるアスナだが、いかんせん完全に力尽きている。
するとマザーズロザリオ編でおなじみの絶剣ユウキの声が。その声で心意が発動したのか、PoH目掛けてレイピアをふるうアスナ。
互いに攻撃をそらし、そらされ、にらみ合いに。
アスナが「何が望みなの…っ!」と問うと「決まってるだろ、黒のやつだよ」と答えるPoHだった。
PoHはキリトに対して、陰に日向に徹底的な攻撃を加えてきた。それなのに、キリトは折れない。自身の想いを浄化するような存在として、希望と喜びを与えてくれたキリトを覚醒させるために、何千、何万を犠牲にしても構わない、と言い放つ。
「どれほどアイツを愛しているか、あんたなら分かってくれると思ったけどなぁ?」とまで言い切る。アスナが折れないキリトを愛したように、PoHもまた裏側から同じ愛を育てていたわけだ。
PKで力を増すメイトチョッパー(友切包丁)の特性が、アンダーワールドでも有効だと喝破したPoHは、そこにキリト覚醒の可能性を見出す。空間リソース、神聖力をもってして、キリト復活に捧げようという割と冷静な判断だ。
互いにキリトへの愛をぶつける形のにらみ合いに押し切られそうになるアスナ。ここでまた、ユウキの声とともにアスナに生えるのは…羽? 絶剣ユウキのソードスキル、マザーズロザリオが炸裂し、PoHを打ち倒す。
ところが心臓をまでもくり抜かれたPoHは、魔剣と化した友切包丁で空間リソースを吸収し、倒れることはなかった。中韓プレイヤーにさらなる扇動をかける。
中韓プレイヤーに蹂躙されたアスナさんが、未だ倒れるキリトに声をかけるところでCM入り。
キリトを苛む、SAO・ALO・GGO・UWの思い出
と思ったら、わずか2CM、30秒でBパートに突入する。場面はキリトの精神世界に戻る。
冒頭で目に入ったサチたちは、SAOの宝箱トラップに引っかかり、大量のモンスターポップを招いてしまう。多勢に無勢で、散っていくメンバーたち。SAOでビーターとして非難され、身を守るために人を殺め、ALOで須郷を惨殺し、GGOで死銃を仕留め、アンダーワールドでユージオを失うキリトさんの精神風景が走馬灯のように流れる。
俺が死ぬべきだった、と自分を責めるキリトの前に、アスナ、シノン、スグが現れるも、その心はもはや閉ざされるばかり。じれったい。
謎のSTL接続、WLSS703とは?
この描写は、キリトの傷ついたフラクトライトを意味している。まだ復活しないのか、という観る側の代弁者となるべく、オーシャンタートルに場面が移り、アスナ、シノン、スグのSTLを接続してもなお目覚めないキリトに落胆する比嘉のシーンへ。
キリトに関する第三者の記憶、客体が主体を再構成するまで、3女神をもってしてもまだ足りないのか、と諦めつつある比嘉。その眼の前に、新たな別の接続が映る。アンダーワールド内のオブジェクト、WLSS703、つまり青薔薇の剣からだ。
その接続の主は、青薔薇の剣と化したユージオからだった。
ユージオは記憶のかけら、と名乗った。ライトキューブは初期化され、ユージオの主体となるフラクトライトは既に無い。ところがライトキューブと並んでアンダーワールドを構成するオブジェクトを管理するメインビジュアライザーが保持するオブジェクト内のユージオに関する記憶は、限りなく本人のフラクトライトに近い存在だ。
主体と客体、それぞれで構成する記憶は、区別できるものなのか。これはSAOワールド、さらには川原ワールド内のAI観、人間観に通じるものと言える。
4人分の記憶をもってして、ついにキリトのフラクトライトが補完される。ダメ押しはユージオだったが、これは必要条件だったように思う。ユージオは、アンダーワールド内でキリトと10年を超える時間をともに過ごしている。SAOワールドの年表において、アスナたちがキリトと出会ってからの時間は4年に満たない。
キリトの目覚め
PoHの扇動が最高潮に達する中、中韓プレイヤーにとどめを刺される寸前のアスナは薔薇の香りを感じる。ふと目をやると、青薔薇の剣に手をかけるキリトの姿が。その復活の兆しに歓喜するPoHを前に、ついにキリトが発声。久しぶりに聞く「エンハンス…アーマメント!」の神聖語! 青薔薇の剣の完全武装支配術で、PoHを筆頭に凍り付く中韓プレイヤーたち。
とはいえPoHは早々に氷の支配から抜け、未だ大地に伏すキリトを守ろうとしたソルティリーナさんとアスナに切りかかる。そのPoHを片手で弾き飛ばしたのは、ついに立ち上がったキリトだ。
「おかえり、キリト君」
「ただいま、アスナ」
で今回はエンディング。タイトルが「記憶」だから覚醒エンドは既定路線だが、ここで終わるか!という王道のクリフハンガーである。
次回のタイトルは「覚醒」。はい。もう無双来ます。
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