相棒17 第10話「ディーバ」感想 払底する大物政治家

相棒17の元日スペシャル第10話「ディーバ」は、大物政治家を追い詰める特命係…と思わせておいて、最後にゲストが大団円を演出するというおなじみのスペシャル回。脚本家は女の闘いを描くのがお得意な太田愛氏だった。

存在感、あえて薄めの特命係

ネタバレ前に、あらすじは以下。


年末の朝、110番通報が発信されたマンションに駆けつけた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、室内で血を流して倒れている少女・槙(優希美青)を発見。彼女の幼い息子が誘拐されたと分かり、槙の母親・貴巳(河井青葉)は亡き夫の父親である衆議院議員の敦盛劉造(西岡德馬)の元に向かう。身代金目的であれば、劉造に連絡してくるはずだと考えたらしい。その後、槙は意識を取り戻したものの、息子の父親については黙秘。偽装誘拐の可能性も浮上し、捜査は難航する。そんな中、犯人から連絡があり、意外な要求がなされる。それは、来日中の大物シャンソン歌手・神崎瞳子(大地真央)に、マスコミの前で告発文を読ませろという奇妙なものだった。内容は、「三雲生命の社員・天野弘は自殺ではなく殺された」という告発。犯人はなぜ瞳子を巻き込み、こんな手の込んだことをするのか?

天野弘について調べ始めた亘は、急速に業績を伸ばしている三雲生命について不穏な情報を入手する。そして、右京に相談しないまま単身、暴力団事務所に乗り込むが、それから消息を絶ってしまう。いっぽう、瞳子と誘拐事件の関係を探っていた右京は、貴巳と瞳子の過去にある接点があったことに気づき、劉造と三雲生命が浅からぬ関係にあることも指摘。そして、亘と連絡が取れないことから、元特命係の神戸尊(及川光博)に協力を依頼する!!そんな中、犯人から劉造に再び連絡があり、事態はついに殺人事件にまで発展してしまう…!!
誘拐と殺人、2つの事件に意外な繋がりが!?
世界的歌姫と一連の出来事の関係とは…?
そして、亘の捜索のため、尊が大胆な行動に!
特命係の命を懸けた戦いが始まる!
出演:水谷豊 反町隆史 鈴木杏樹 芦名星 及川光博 榎木孝明 杉本哲太 仲間由紀恵 石坂浩二

ゲスト:大地真央 河井青葉 優希美青 西岡德馬

ゲストの最初に挙げられる大地真央は、今回の主役。 神崎瞳子(大地真央) が誘拐事件を仕組み、ソーシャルメディアを駆使し、最終的に敵となる衆議院議員の敦盛劉造(西岡德馬)を破滅に追い込む。今回の特命係はどちらかというと脇役だ。

途中で亘(反町隆史) が暴力団事務所に出向き、とっ捕まったところを神戸尊(及川光博)が助け出す、という見せ場はある。ただ見せ場のための見せ場という感じで、ストーリー上の本線ではない。

“大物政治家”の終焉

洗脳セミナーでの自殺と、それを隠蔽する圧力を陰に陽にかける敦盛。その敦盛が犯した性犯罪。断罪する対象としては文句の付けようがない悪人だが、これまで相棒を彩ってきた大物政治家に比べると小物にしか見えない。大地真央のゆったりとした演技を西岡德馬が受けきれていない。

なぜか。脚本がそう意図しているからだ。与党の大物、依然として力を持つフィクサー。そんなものは平成最後のこの年には、既に存在しない。罪の大きさに比例する貫禄など持ちえない小人。周りの忖度に囲まれて権力を発揮してきた大物政治家にはふさわしい演出ではないか。

緊張感の消失

ラストシーンは、爆弾の起爆装置を手にする断罪者と、罪をあげつらわれる政治家が対峙する。事実を暴きながら最悪の事態を避けようとする特命係。スーツケースに詰めた爆弾は、下半身が吹っ飛ぶ程度らしい。使おうと思えば使える戦術核のようなものだ。現場一帯が吹き飛ぶような爆弾ではなないので、舞台上はもっと緊張感があっていい。

結局、爆弾は見せ球に近い位置付けだった。神崎は敦盛を追い落とす最後の一手に右京を選んだ。神崎が救いたかった人達が被る罪の重さをもっとも軽くするために。

右京の締めの言葉は「あなたはもうおしまいです」。右京節にしてはずいぶん穏やかだ。そこにあったのは、哀れみと安堵に近い何かではないか。

今シーズンの最後は青木ネタ?

特命係の獅子身中の虫、青木。サイバーセキュリティ対策本部に復帰する。右京と亘の顔写真に画鋲刺しまくりの恨みつらみがついに炸裂するか。おそらく特命係の二人が警察の敵となる舞台をITで整えるんだろう。

今回のスペシャルは感想を書く気力がなかなか湧かなかった。大物政治家たる役者がそろそろ払底してきたのではないか。官僚という神話も厚労省の統計改ざんのニュースを見るにそろそろ終わりそうだ。つらい。

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