相棒17 第5話「計算違いな男」感想


相棒17、骨太回だった4話の後の5話。少し踏み込むと、タイトルがすべての実験回だった。

ネタバレ前に、あらすじは以下。

証拠品の捜索のため夜の神社にやってきた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、不審な行動をしている男(木村了)と遭遇する。慌ててその場を立ち去った男の状況から、右京は、彼が完全犯罪で誰かを殺害しようと動いている可能性に気付く。調べると、男は星野という優秀な天体物理学者で、イギリスの研究チームにスカウトされていて、プライベートでも結婚を控えていることが判明。幸せの絶頂にいるはずの彼がなぜ、誰を殺そうとしているのか…。さらに捜査を進めると、星野は物理研究部に所属していた高校時代、同級生の少女が亡くなった爆発事故に関与していたという証言がもたらされ…。

完全犯罪を目論む天才的な天文学者と右京が知恵比べ
16年前に起きた悲劇的な爆発事故との関係は…!?
特命係が時を超えて絡み合った哀しい真実をひも解く! ゲスト:木村了

脚本は初登板の根本ノンジ氏。監督は橋本一氏。あらすじでは「天才的な天文学者と右京が知恵比べ」とあるが、これはあえてのミスリード。犯罪の「知識比べ」であって、知恵という面ではまったく相手になっていない。そこに肩透かしをくらってから本番、という趣向の脚本だった。

ギミックの一つである犯罪記事のスクラップブックの存在と、物理研究部と天体物理学に連続性が無いのが気になった。前者の存在は、自分の人生を計算で乗り切ろうとする星野が、いつか殺さなくてはならない相手の出現を見越して用意していた、という怖さと滑稽さがある。物理から観測よりの天文学にシフトしたのは、事件からの逃避だろうか。ここは臆病さを感じさせる構造と受け止めた。

何かかみ合っているようで、かみ合わない。タイトルの「計算違い」が通奏低音となり、それがかえって現実味を生んでいる。

ラストは、すべてを失ったかのように見えた星野のもとに、一人の女性が戻ってくる。そしてお約束の流れ星。予期せぬ予定調和にまた肩透かしをくらい、観る側を巻き込んだ計算違いは最後まで続く。

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