相棒17 第6話「ブラックパールの女」感想

相棒17の第6話「ブラックパールの女」は、将来への伏線ありの一話完結モノ。女性の描き方に俺的定評のある脚本家と実力派の監督が一風変わった相棒を見せてくれた。 ネタバレ前に、あらすじは以下。

ある日、右京(水谷豊)は、弁護士の連城(松尾諭)から突然、奇妙な依頼を受ける。顧問弁護士を務めている出版社が、連続殺人事件の被告として拘禁中の遠峰小夜子(西田尚美)に、名誉毀損で訴えられているのだが、和解の条件として「有能な刑事と話がしたい」と不可解な要求をしてきたという。小夜子は、真珠養殖詐欺を行い、返金を迫った被害者を自殺や事故に見せかけて殺害した疑いを掛けられている人物。亘(反町隆史)と共に面会に出向いた右京は、小夜子から気になる話を聞く。海外に行く飛行機の中で知り合った谷岡という科学者に、若い女性向けの黒真珠のネックレスを紹介したという小夜子。谷岡は、数日前、風呂場で溺死したことが報じられた世界的なバイオ技術の研究者。小夜子がなぜ、わざわざ刑事を呼んでそんな話をしたのか、興味を抱いた右京は、事故死として処理されている谷岡の一件も調べ始める。

特命係を捜査に駆り出した 狡猾でしたたかな女詐欺師の目的とは…!? 危うさをはらんだ拘禁中の連続殺人犯が特命係を翻弄する!

ゲスト:西田尚美 松尾諭

淡々とした本編と、輝かしい伏線

脚本は山本むつみ氏。割と味のある回だった相棒13の13話「人生最良の日」と同じ方。監督は映画監督の権野元氏。いつもならもっと青みがかる東京拘置所が心なしか暖色の輝きに満ちていた。

どこまでも脇役の犯人

今回の犯人は、誤解によって夫を殺害してしまう。糟糠の妻が裏切られて激高、というよりは、惰性で生きてきて緩み切ったゴムが、急に張りつめてちぎれた。そんな描き方だ。 伊丹はこう言う。「もう少し話し合えば、殺すことはなかった」。泣き崩れる犯人は、何に泣いているのか。夫を惜しむような演技・演出ではなかったように感じた。もう世界線は収束している。惰性で生きる女性への視線はどこまでも冷たい。

右京の本気を引き出せるか

方やゲストの遠峰小夜子。能動的に動き、考える女性として、右京に気圧される気配を感じさせない。右京もたしなめこそすれ、その才覚を認めているのだろう。分かりにくい行動は、右京にとって脅威ではない。全力を発揮するには、自信をもって立ちはだかる相手が必要だ。 この遠峰をどこまで雄大に描けるか。来るであろうスペシャル回の脚本家に重いバトンが渡されることになる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました