YU-NOアニメ版は何かブログに書いておこうという気が起きにくい。旧ゲーム版をやり込んだので新鮮味はゼロ。なまじシナリオの良さを知っているがゆえにどうしても劣化版に見えてしまう。と思って惰性で見ていたのだが、11話はなかなか気合の入った回だった。
リフレクターデバイスの重み
リフレクターデバイスというやつは、時間は可逆だが、歴史は不可逆、という並行世界のお約束の中で動いている。今となっては当然でしょとか言われそうだが、ゲーム版YU-NOは幅広いユーザーに向けてSF定番のギミックをゲームシステムに融け込ませた形でユーザーに提示していた先駆者だ。歴史は不可逆なので、どんな悲劇もなかったことにはできない。カオスの矯正で刈り取られる形で消滅こそすれ、そこで起こったことは歴史として刻まれる。
このため、目の前の大事な人を放置して別の世界線(とはYU-NOでは言わないが)に行くのに葛藤が生まれる。まあ、もうYU-NOだけの葛藤ではないのだけれど。
11話は、10話に続いて澪を徹底的に魅力的に描くことで、この葛藤をうまく映像化していたように思う。一歩間違えれば死、という状況下でたくやはリフレクターデバイスを使うのを拒み、澪と共に三角山を脱出するのだ。
澪ルート最終回で見せた気合
澪ルートの最終回ということで、作画はところどころ修正が入っている。なんというか、澪がずっとかわいい。
ツンデレな作画に釘宮ボイスはテンプレすぎるとはいえ、王道である。
脱出後の引き絵で少し緩むときがあるが、ほぼ全シーンで修正が入ってるのではないか。
各ヒロインの最終回に期待
三角山内部の謎の遺跡と、古代文明に似つかわしくない機械然とした鉄塔。そして考古学者としての澪と、理解者としての美月さん。すべてが上手く噛み合って、YU-NO特有のセンス・オブ・ワンダーを演出していた。音楽の印象が薄いのは、まあワザとだろう。原作のテキストを彩る音楽の役割と、良質の作画と実力派の声優陣を引き立てる劇伴とは、性格が異なるのだから。
長大なシナリオを映像化するには、どうしても山と谷ができる。離脱しそうになっていたアニメ版YU-NOだが、これで最後まで視聴を続ける気になった。このカロリーであのシーンやあのシーン、さらにあのシーンを描いてくれると思うと、ちょっと期待してしまう。
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