無職転生 第20話「妹侍女の生まれた日 」ネタバレ感想 リーリャとアイシャの家族愛

無職転生の第20話「妹侍女の生まれた日」は、ルディに心酔するリーリャが、ルディの聡明さを知ったアイシャとの愛情を深めるという、リーリャとアイシャの家族愛の回だった。原作者が悔しがるような正史とも言える展開をアニメで見られて幸せである。

ネタバレ回避のあらすじは以下。

ロキシーをおびき寄せる餌としてパックスに捕まり監禁部屋に入れられてしまったルーデウスの前に、 シーローン第三王子でパックスの兄・ザノバが現れた。 ザノバはあるものを取り出し、ルーデウスに質問をする。すると事態は思わぬ方向へ…。 一方、エリスとルイジェルドはルーデウスが捕まったことを聞き救出に向かう。

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原作より深まった、リーリャとアイシャの描写

転移事件当日の様子その3、リーリャとアイシャ

アバンはあの日、第8話「ターニングポイント」へ。17話「再会」ではパウロ視点でノルンとの転移を描いていたが、今回はリーリャ視点だ。

第8話でも出ていたカット。窓の外には不穏な雲
背後にはシルフィとアイシャが

リーリャは窓の外の光の柱が膨張して迫ってくる様を見て、とっさに背後にシルフィと並んで立っているアイシャを抱きしめる。

光に包まれるリーリャとアイシャ

そのまま毎度の特殊オープニングに突入する。アイシャとリーリャが転移したのはなんと水の底。幸い深くはなく、水面にもがき出ると見知らぬ夜の森の池のようだ。気を失っていたアイシャだが水を吐き出すと苦しそうな呼吸を取り戻す。ホッとしてアイシャを再度抱きしめるリーリャ。

しばしさまよい、見えてきた町の外観を見てシーローン王国か、と気付く。リーリャは元近衛侍女なので聡い。

城を訪ねるリーリャだが、シーローン王国にいるはずのロキシーを頼ろうとその名を出したところを、近くにいたパックスに見とがめられ、あっという間に投獄されてしまう。

元冒険者とはいえ心細い。パウロより辛い境遇だ

フィットア領消失時に転移してしまった皆はそれぞれ悲惨な運命をたどったわけで、リーリャとアイシャのそれも凄惨だ。これまで見てきたルディとエリス、パウロとノルンの苦境に続く描写は、その心細さが伝わってくる演出で胸を打つ。

人形に入れ込みまくりの第三王子、ザノバ・シーローン登場

Aパートは結界魔方陣に囚われのルディから。第14話「只より高いものはない」に続き、2回目の投獄である。無料アパートネタをモノローグで語るルディ。

1回目はメシウマだが水ぶっかけられの刑だった

そんなルディの許に、ザノバ・シーローンである、と名乗る人物が牢の階段を下りてくる。前回の伏線、大きな荷物の中に入っていた人形の製作者を知りたいとのこと。

ザノバが取り出したのはルディが作ったルイジェルド人形だ。スペルド族の人形なので邪神像として咎められるのかとルディは、魔大陸で偶然手に入れたと嘘をつく。

さらにこれは見覚えが無いか?とザノバが取り出したのはロキシー人形! 4年前にシーローンの市場で我が弟、つまりパックスが発見したらしい。宮廷魔術師「だった」ロキシーに似ている、というザノバの言い回しに、ロキシーが既にシーローンにいないことを知ったルディである。

ザノバ・シーローン。後にルディの勝利を支えていくVIPである

ここからロキシー人形をほめちぎるザノバ。ポーズの秀逸さ、ローブの表現、ボディラインを強調するポーズによるエロス、しかも着衣のローブは外せる上にポーズまで変わるギミック付きときている。

短時間でロキシー人形の凄さを伝えないといけないので描写がすごい

そのザノバの様子を恍惚の表情で見守るルディ。しかしあったはずの腋の下のほくろが無いことを指摘すると、ザノバは「美観を損ねると思って削った」とこともなげに言う。

ここでルディは「削った…?!」と詰問口調になり、そのほくろがフィギュアの情景に与える意味を滔々と語る。脱衣状態で胸を隠すロキシーの手は、胸は隠せてもほくろは隠せない。第二の乳首に見立て、それを隠せない恥じらいを表現したのが意図なのに、と内心で思うルディだが、ザノバもその筋の方なので意図に気づいて愕然とする。

ということで、ルディが人形の作者であることに気づくザノバ。五体投地のままルディに弟子入りしようと近づこうとするが結界に遮られてしまう。

人質の救出に向かうルイジェルド、エリスはアイシャを保護

ここでエリスとルイジェルドによる救出シーン、なのかと思えば城の兵士に呼ばれたらしい。

兵士たちはもともと人質を助けようと暗躍しており、無詠唱魔術の使い手であるルディに助けを求めようとしていた。この辺りはアニメ版ではやや説明不足になっている。

まずはルディを助けようとするエリスに、家族がパックスに囚われているので助けてほしいと依頼する兵士たち。エリスはルディを優先しようとするも、あいつは一人でも大丈夫だ、とルイジェルドさんはバッサリ。ルディは戦士認定されているのでそんなもんだ。

パックスは服従を求めるために兵士たちの家族を人質に取っているとのこと。ルイジェルドは自分だけで救出にいくと言い、エリスにはアイシャの保護を頼む。

エリスはアイシャと待機

案内します、という兵士に、俺には分かる、と答えるルイジェルド。額に魔眼があるので索敵できるのだが、そんなことは知らないので怪訝に思う兵士たちだった。

首取り王子のザノバ、パックスを成敗

Bパートは結界の魔力供給源を探すザノバから。人形製作の弟子を目指すザノバは必死だが、なかなか見つからない。結界に詳しい配下はいないのか、と問うルディに、ザノバは人形のために一切合切売ったと答える。

ここから出られれば弟子にしてもよいが、このままでは破門だ、文句を言うルディ。要はパックスをどうにかすればいいわけですね、というわけでザノバは「しばしのご辛抱を」と言い残して牢を出ていく。

ザノバ一人でどうするのかと思いきや、その動きに対して城は騒然となる。魔力を持つさすまた(刺股)のような道具を手に駆け回る兵士たちを見て、不思議に思うエリス。アイシャはその道具を「ある人が暴れた時に取り押さえるため」と説明する。

エリスに状況を的確に伝えるアイシャ。ガチの天才である

ある人とは「神子(みこ)」。生まれつき特殊な能力を持つ者を神子と呼ぶらしい。アイシャのエリスに、神子の説明と、この国の神子である怪力の持ち主が3歳の時に生まれたばかりの弟の首を引きちぎったことがあるというエピソードを伝える。そんなに強いなら闘ってみたいわね!というエリスさんにあっけにとられるアイシャである。

原作では、エリスとアイシャのやり取りは無い。ルディの一人称で神子の説明がある。ここでアイシャを説明役にすることで、情報収集が得意という印象を強く与える演出になっている。巧い。

このことから「首取り王子」の名を持つザノバ。パックスをアイアンクローで牢まで引っ立てる。その様子を見たエリスは後を追う。

牢に着くと、ルーデウス殿を解放しなさい、とパックスを脅すザノバの姿が。パックスが家族がどうなってもいいのか、とジンジャーに助けを強要するも、その場にいたエリスはルイジェルドが家族の救出に向かったから大丈夫よ、と豪語する。

「ルイジェルド…殿?」と何それ美味しいのな反応を見せるジンジャー。エリスは「とっても優しいスペルド族よっ」と自慢する。「スペルド族」の効果はてきめんで、パックスを助けるかどうか迷いながらも構えていた剣を下すジンジャーだった。

こんな刺股もどきでザノバ止まるんかね?

パックスの首をねじ切らんばかりに力を入れるザノバに、ついにパックスが折れルディの解放を約束する。パックスの軽く腕を引いただけであらぬ方向に曲がるパックスの腕。ルディが「わけがわからないよ…」と言っているうちに事態は解決だ。

アイシャを慈しむリーリャ

ルイジェルドが家族を連れて帰ってきた。リーリャとアイシャも再会でき、無事に解決だ。

良い絵だ

感動の再会シーンに、師匠ぉーっ!!と駆け寄ってくるザノバ。ルディを抱え上げると勢い余って放り投げ、そのまま地面に自由落下して負傷。破門にしてやろうか、と思うルディである。

一夜明け、エリスは「ルッ…飼主はすごいんだから」とリーリャに武勇伝を語っている。

ルーデウスと言いそうになって照れるエリスさん

リーリャはルディを馬車の物陰からそっと呼び出し、箱に入ったご神体を渡す。転移は持ち物も一緒になる、ということはリーリャは肌身離さずご神体を守っていたのだ。

ご神体との再会に赤面するルディ

ロキシーのパンツの上には、見慣れないペンダントが。シルフィエット様、つまりシルフィがルディの10歳の誕生日プレゼントとして作ったものだ。背後からルディをそっと、かつ力強く、改めましてお誕生日おめでとう、ご無事でよかった、と抱きしめるリーリャ。

背後から抱きしめるのはアニメ版オリジナルの描写

アイシャは無礼なことはしなかったか、とルディに聞くリーリャ。そんなことはないと否定するルディに、未だに素晴らしさを理解できぬ愚鈍な娘だと話す。

リーリャは第4話「家族会議」でルディがリーリャのことをパウロの第二夫人とゼニスに認めさせるように仕向けた恩を深く感じているので、そういう物言いになる。

最初の忠臣である

そこに内密にお願いがある、とルディに駆け寄ってくるアイシャ。デッドエンドの旅の仲間に加えてほしいという。パンツを奉る変態の腹違いの兄に使えるのは嫌なのだと。

男好きのするカラダになりますよ、と放言するアイシャを、子供がそういうことをいうなと軽くチョップをしてたしなめるルディ。

ルディは旅の仲間にする代わりに、好きな人からもらった大事なものだと言い、ルイジェルドからもらった鉢金を渡す。兄もそうだったのではないか、とご神体への思い入れを言葉にせずに伝えようとする。なんか分かった気がしますっ!と納得するアイシャだった。

ものすごい速度で兄の意を理解しようとするアイシャ

そのやり取りを馬車の中で聞くリーリャは、満足げな表情を見せる。

二人とも聡明で安心というか満足というか好き

リーリャとアイシャを乗せた馬車が先に出発。アニメ版では特に説明がないが、彼女らはパウロたちに合流する。道中の護衛の兵士はリーリャの顔見知りだ。リーリャはアスラ王国後宮勤めの経験もある元冒険者なのでさもありなんである。

馬車の荷台から別れを告げるアイシャは、最後に「変態って言ってごめんね!お兄ちゃんっ!」と言って手を振る。リーリャはそんなアイシャを見てハッとした顔になり、やや遅れてアイシャの頭を優しく撫でる。

この頭を撫でるのもアニメ版オリジナルの演出

アイシャは分かっていてルディを試したわけだ。パンツをご神体とするのは変態である。がしかし、その度外の理を実例をもって納得させてくれた。これで兄の才を認めたのだろう。

アニメ版だけ見ていれば愛を感じた、で十分なのだが、原作ではもっとアイシャは打算的だ。いや、正確には、打算的な描写が目立つが中身は愛に飢えた子供である。ルディ視点が中心の原作では薄まっていたリーリャとアイシャの家族愛の物語を、思い入れを感じる脚本と演出で再構成してくれたアニメ版には感謝しかない。

やっぱりバレバレじゃないのよ、とエリス。パックスとザノバは留学という形で国外追放になったそうな、というルディのモノローグでエンディング。

ザノバの弟子入りはまだ先の話である

次回は「ターニングポイント2」

次回のタイトルは「ターニングポイント2」。次回予告、しかもタイトルだけで鳥肌立つのすごい。予想通りのペースでついに来た。

で、予告PVが公開されたんだけど、こっちも鳥肌立ったわ。

ガチで怖い

このオルステッドがガチで怖いの、物語上超重要な伏線というか本線をドライブする本筋なので、演出の気合の入り方が違う。PVのカロリーだけで成人男子の2年分くらいを超えてる。

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