ジェットコースターの上り坂のような日常
無職転生の第6話「ロアの休日」は、ボレアス家の令嬢エリスの家庭教師となったルディの日常を描くつなぎ回。この世界の物価や現実と地続きの神話が語られ、おそらく8話で出てくる空中城塞の存在が明らかになる。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
誘拐事件が幕を閉じ、正式にエリスの家庭教師として働くことになったルーデウス。エリスとギレーヌに算術や魔術を教える傍ら、ギレーヌから剣術を教わるというハードながらも平穏で充実した毎日が続いていた。しかしある日、休みのない授業のストレスでエリスが再び狂暴になってしまい……。
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割愛されていなかった「くださいニャン!」
アバンは「エリスに魔術を教えてくださいニャン!」から、ではなく、前回、割愛したのかと思っていた一連のシーンから。
- フィリップがルディにエリス救出はギレーヌがすべてやったことにすると言い含める
- ボレアス家の当主であるサウロスが登場、御礼を言う
- ルディ、助けたのはギレーヌ、と言うもサウロスに喝破される
- フィリップ、サウロスにグーでパンチされる
- エリスの鉄拳の由来が分かる
- サウロス、エリスに魔術を教えてくれ、とルディに頼む
- ルディ、エリスが自分で頼むべき、と言う
- サウロス、エリスを大声で呼ぶ
- サウロス、エリスに自分で頼むように言い、エリスは頭を下げる
- サウロス、「それが人に物を頼む態度かっ!!」と一喝
- エリス、「エリスに魔術を教えてくださいニャン!」とツインテールで頼む
- ルディが唖然としていると、「もっと腰を突き出さないと~」とフィリップ
- 執事が彼らは獣族好きでアレは垂れた耳を模している、とフォロー
- ルディ、「それが人に物を頼む態度かぁっっ!」と絶叫
でアバン終了である。やや意味不明だが、執事の言うようにボレアス家は獣族好きなのだ。ツインテールではなく耳。原作だとエリスは嫌がっていて、ルディの一喝でこの頼み方は廃止となり、ギレーヌはそれに感謝している旨が語られる。
そのまま特殊オープニング、というか無職転生ではもはや通常OPだが、ギレーヌに剣術を教えてもらい、エリスにファイアボールを指南し、夜にロキシー人形を作るルディの姿がつづられる。
算術から逃げるエリス、冒険談で諭すギレーヌ
Aパートは家庭教師の日々。ギレーヌに算術を教えるルディたちの傍らで、カーテンに着火して「いつかルーデウスみたいなおっきな花火を上げてみせるわ!」と喜ぶエリス。
原作だと初めてファイアボールを出したときにカーテンを得意げに燃やすエリスさんなのだが、アニメではOP内で初めてのファイアボールに喜ぶ姿が描かれているので、なんか単なる放火魔になってしまっている。ファイアボールを飛ばせるようになった、ということなのだろうか。
そこでルディはギレーヌに黒狼の牙時代の冒険談を語ってもらい、エリスのやる気を出させようとする。冒険者、の言葉に目を輝かせるエリス。ギレーヌが算術が分からないばかりに餓死しそうになった体験談を身を乗り出して聞くエリス。
何とか算術にも取り組むようになったエリス。魔術はともかく、剣術ではルディとの稽古に全力である。一方、ルディの剣はすくみがち。滅多打ちにするエリスとは心構えが違う。生死に対する感覚は現代人、という描写でもある。
それいる?でもいるルディのゲス描写
ところで魔術に熱心なエリスさん、読み書きや算術の授業ではすぐに脱走する。物置きで昼寝しているエリスを見つけ、起こしても起きないので胸を触る。さらに起きないのでパンツを下ろそうとする。ちょっと何言ってるか分からない。
正直、中身が35歳+7歳で42歳の男がやっていい行為ではない。普通に引く。が、この普通に引く、という印象を観ている側が受けるのは演出上必要なことなのだ。
このシーンだけで無職転生のアニメ組の中で離脱が増えても仕方がない。ただ、意味のないゲスではないので、我慢の限界を超えない程度で乗り切ってくれるといいな、とは思う。
本気で生きるルディだが、人間関係においては7歳児に近い。これまで上手くいっていたエロゲースキルによる対人関係がうまくいかなくなる時がいずれ来る。
その時の絶望を、書き手としては読み手と共有させようとして話を運んでいる。アニメ版もその本線をぶらさずに的確にゲスエピソードを残している印象だ。
ロアの休日で分かる物価と貨幣価値
さて家庭教師の日々が順調に進む…と思いきやいきなりキレるエリス。この世界の文明では週休二日ではないどころか、休日という概念がない。エリスの爆発の原因は休みが無いからだ、と気づいたルディだった。
ギレーヌとルディをお供に街に出るエリスさまご一行。散策する中で、市場の物価を調べてメモするルディであった。
とある店でおススメされた媚薬は金貨十枚だそうだ。アスラ金貨1枚は感覚的に10万円くらいの価値らしい。ゼニスにプレゼントされた植物辞典は金貨7枚だった。実に70万円相当。ゼニスが無理をしていたのだと気づくルディだった。
物価と関連付けて、給料の話も出る。ルディの月給は銀貨2枚。ギレーヌの月給は金貨2枚である。ギレーヌは剣王の称号を持つ食客なのでそれなりの高給取りだ。エリスの金銭感覚はサウロスおじいちゃんの薫陶でゼロである。
甲龍王ペルギウスの空中城塞
夕暮れの街を歩き帰路につこうという頃、ふと空を見上げて天空の城を見るルディ。
甲龍王ペルギウスの「空中要塞」らしい。400年前に魔神ラプラスを倒した英雄の一人だそうだ。暦の生まれにもなっていて、今は甲龍暦400年とか。
ちなみに原作では「空中城塞(じょうさい)」だ。要塞が言い間違えなのか聞き違いなのか分からないが、音だけで通りがよいのは「要塞(ようさい)」な気がする。
アニメ版オリジナルのあっさり割れる媚薬
家に帰ると、金貨10枚の媚薬をそうとは知らずにルディにプレゼントするエリス。欲しそうな顔をしていたから、ということで買ってきたらしい。色々あって、媚薬って何よ?と問い詰められるルディのシーンでエンディングである。
そのやり取りの中で媚薬の小瓶はあっさり割れる。原作では後で重要アイテムとして人からもらうものなので、持っていると世界線が変わってしまうからだろうか。
でもこのシーンはアニメオリジナルみたいね。原作には無い。それにしてもこの媚薬、金貨10枚の大金が必要でエリスがこっそり買うにはちょっと高すぎるのでは。サウロスとエリスの金銭感覚のズレや領主たるボレアス家の富の強調の効果もあるか。
それとも相手の意向を勝手に想像してやらかすエリスの性格を印象付ける補強エピソードなのかな。考えも無しにオリジナル要素を付けてくる制作陣ではないので、どちらか、またはその両方の可能性が高い。
次回は最後の日常回…かな?
次回は「努力の先にあるもの」。このタイトルは原作には無い。おそらく、エリスが何かに頑張って何かができる回になるのではないだろうか。となると、やはり8話でアレが来る。
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