相棒17 第8話「微笑みの研究」感想 TRICKか

相棒17の第8話「微笑みの研究」は、何を言ってもネタバレになるという回。軸は研究倫理だろうか。演出ないしは演技に難があったが、構造のしっかりしたお話だった。 ネタバレ前に、あらすじは以下。

人間の心のメカニズムを総合的に研究する認知科学の権威である大学教授が心臓麻痺で死亡した。一部の学生が、『呪い殺された』とSNSで騒いでいるという噂を聞きつけた右京(水谷豊)は興味を抱き、亘(反町隆史)と共に調べ始める。学生が“呪い殺した張本人”と名指ししているのは、半年前に転籍してきた助教の川村里美(佐津川愛美)。学生によると、教授が死亡する前日、彼をにらみながら「死ね」とつぶやいていたらしく、さらに「人を呪い殺せる」と公言している霊能力者と会っているところを目撃したという。その里美と、同研究室の准教授である高野鞠子(冨樫真)猪瀬(オクイシュージ)に事情聴取した右京は、「事件性はない」と聞いた時になぜか里美だけが密かに微笑んだことを不審に思う。しかし、事件当時の里美には完璧なアリバイが存在していて…!?

教授を呪い殺したと噂される助教の鉄壁のアリバイ… 科学と呪いが交錯する事件の背景に複雑な人間関係が… 右京と亘が、罪深き人間心理の深淵に迷い込む!

ゲスト:佐津川愛美 冨樫真 オクイシュージ

怒涛の伏線回収で押し切る

脚本は相棒11の8話「棋風」の印象が強い金井寛氏。監督は権野元氏。疑似科学のようなエンパスをトリックの核にした技巧派回だった。

TRICKかと思う出だし

冒頭は炎揺らめく祈祷のシーン。ちょっと書いたらアカウント停止されそうな言葉を巫女が吐くと、どこかの研究室で今回の被害者、人を実験動物のように扱う教授が倒れる。TRICKかよ。 この殺人は、実行犯の憎悪を強い共感力で我がことのように感じてしまう、エンパスという存在を軸にしたもの。実行犯が教授の殺人に踏み切るように、エンパスの教唆犯がおぜん立てしていく。殺意のある人間の傍にいるのがエンパスにとっては強いストレスなので、いっそ殺意の発生源ごと消したい、というわけだ。

役不足か、力不足か

実行犯の高野鞠子を演じた冨樫真氏、それを裏から操った川村里美を演じた佐津川愛美氏。そのどちらとも、相棒世界から少しずつ浮いていたように思う。用意された舞台が、やや大仰だったのではないか。そう感じていたが、これはあえての演出だったとも受け取れる。 というのも、最後にその両者を駒とした試合を眺めた猪瀬(オクイシュージ)を右京が断罪して終わるからだ。実行犯、教唆犯に加えて、観察犯がいた。猪瀬に踊らされていた富樫と川村だが、そのことが分かっていない演技というのは難しいだろう。分かっていて、分かっていない、そんなふうに演じるのだから。 直接罪に問えない猪瀬を「人を名乗る資格すらない」と切って捨てる右京。呆然とする猪瀬を背に、右京と亘が鬼神のごとく研究室のドアを閉めて去るシーンで幕を閉じる。 怒涛の伏線回収力。それだけに、ゲスト陣の力不足が目立ってしまった。いや、力量があるがゆえの不自然さか。 次回はイタミン回。上り調子の相棒17だね。

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