ヘイト値を集めきれなかったアドミニストレータ
ソードアート・オンライン アリシゼーション(SAO) 第24話「ぼくの英雄」は、アドミン様を総力戦で打倒し、現実世界への離脱のヒントで終わる。最終回ながらプロローグでもある回だった。ネタバレ回避のあらすじは以下。
カーディナル、ユージオ、そしてアリスの想いを身のうちに宿し、キリトは再び立ち上がる。《人界》最強の存在であるアドミニストレータを倒すため、キリトが心意で強くイメージしたのは、かつて《SAO》を攻略したトッププレイヤーである《黒の剣士》の姿だった。この世界で出会ったすべての人の想いを胸に、二本の剣を携えたキリトはアドミニストレータとの一騎打ちに挑む。
ソードアート・オンライン アリシゼーション 第24話「ぼくの英雄」
https://sao-alicization.net/story/24.html
脚本:木澤行人
絵コンテ:小野 学
演出:佐久間貴史、小野 学
総作画監督:鈴木 豪、山本由美子
作画監督:前田達之、みうらたけひろ、伊藤公規、古住千秋、チョン・ヨンフン、秋月 彩、水野辰哉、平岡紘徳、大高美奈、監物ケビン雄太、熊川ありさ、神本兼利、鈴木 豪、山本由美子
ユージオとアリスが昏倒する中、あがくキリトを「まるで暗黒騎士ね」と揶揄するアドミン様からスタートの最終話。特殊オープニングはなく、オーソドックに幕を開ける。あらすじでネタバレしているように、心意でSAO時の姿になるキリトさん。
CM明け、片手のアドミニストレータがキリトに先制。「片手直剣四連撃ソードスキル、バーティカルスクエア…だったわね?」と勝ち誇る。Web版だと「ホリゾンタルスクエア」だったので、水平から垂直に変わってる。
ソードスキル、は言うまでもなくSAO内の名称なので、アドミニストレータがその存在を知っているのはおかしい。ユージオの記憶からかすめ取ったのか、と疑うキリトさんは、まだユージオに見せたことのない技を繰り出して対抗しようとする。
ところがアドミン様、レイピアに突きのような所作でキリトに有効打を浴びせ「細剣六連撃技 クルーシフィクションよ…」と明かす。ユージオの記憶に無い技を知っているアドミン様に「嘘だ」と漏らすキリトさん。
アスナの技を受けて心が折れるシーンは無かった
Web版だと八連撃の「スター・スプラッシュ」、つまりアスナさんの技を繰り出されて一度心が折れるのだが、アニメ版では出てこない。アスナの技で打ち砕かれるキリトさんの絶望っぷりが凄く、絶望からの回復の回数が増えすぎて話が撚れるきらいはあった。これはアニメ版の方が良い気がする。
アドミン様のとどめは「刀単発技 絶空」。Web版だと「俺の知らない技」と愕然としているので、これもそうなんだろう。いったんキリトさんは撃沈。アドミン様は「この世界を動かしているシステムに関して、私の知らないことなんて無いのよ」と管理者ぶりを発揮する。
ユージオが権限昇格の脆弱性を突く
諦めかけたキリトさんを、一時復活したユージオが鼓舞する。キリトさんに青薔薇の剣の所有権をおそらく移譲し、青薔薇の剣はユージオの血を吸ったかのように赤く染まった紅の剣に姿を変える。アニメ版では説明が無いが、ユージオのリソースを使って青薔薇の剣を再生するという、管理者並みの権限を行使している格好だ。しかも神聖術ではなく、心意というか、まあ超常現象です。なので説明しない方がよい現象ですね。
キリトさんは二刀流となり、アドミン様に向き直る。ようやくアドミン様に焦りの表情がよぎる。渾身の攻撃をはじくキリトさんに「小癪なっ!」と感情をむき出しにするアドミン様の尊いこと。
両手を失ったアドミン様に、片手を失ったキリトさん。アドミン様は金属属性の無い青薔薇の剣を持った方の腕を切り落とす。ところが残ったもう一本、ギガスシダーの剣で胸を貫かれ、敗北を認めるアドミン様。
ボロボロになったアドミニストレータの前に、まさかのコンソール出現。髪の毛でキーボードを叩き、現界しようとするアドミン様。「さ・よ・う・な・」と捨て台詞を吐きながら上昇していく。
ここでチュデルキンが復活、アドミン様に縋り付き、天命全損にまでもっていく。Web版だと、アドミニストレータはキリトさんに大ダメージを与えられた時点で、ターミネーターの人工皮膚が全部剥がれたかのような凄惨な外見になっているような描写がある。チュデルキンの純愛を強調するには整合性のある展開だが、肉欲を強調するにはアニメ版のように美しさを保ったままの方が自然な気もする。
ここでクィネラ?の回想シーンなのか、フラクトライトの初期化準備で見えた幻影なのか、セントラルカセドラル上空からアンダーワールドを見下し「私は…私の世界を…」と穏やかな笑顔を見せるアドミン様の描写が入る。Web版では普通に断末魔の叫びのようだったが、アニメ版では一瞬正気に戻ったかのような演出になっている。散り際に華を与える、まさに散華。
「終わった…のか…」とフラグを立てながらユージオに駆け寄るも、治療のかいなく絶命に向かう。治そうとするキリトを制止し「ステイ・クール」とユージオ。ユージオのアリス・ツーベルク、整合騎士アリス・シンセシス・サーティは並び立つことはなく、ユージオとキリトはそれぞれのアリスを巡って戦うしかない。だからこれでいい、ということなのか、ホッとしたような表情を見せるユージオ。
淡々とキリトへの羨望を吐露する中で、アリス・ツーベルクとの記憶が蘇る。アドミン様の急造シンセサイズで、ユージオの心を砕いたアリスとキリトのイチャコラシーンだ。そこでアリスとキリトさんが仲睦まじく作っていたのは、ユージオへのプレゼント、木剣と鞘だった。
アリスからユージオに渡される誕生日プレゼント。さすがにちょっと涙ぐんだ。ここで無慈悲な竜巻注意情報。
挿入歌の「虹の彼方に」が心にしみる。もはや視界を失い始めたユージオを抱くキリトさんに「まるで星みたいだ」と幻影を語るユージオ。ここで無銘のギガスシダーの剣に「夜空の剣がいいな…」と名前を付け、「この悲しい世界を、夜空のようにやさしく包んで」とつぶやいて絶命する。
ユージオとアリスが向かう先は、ライトキューブの初期化。Web版だとフラクトライトの初期化の過程を説明する段があるのだが、その無機的な切なさは省かれている。
現実世界への扉が…開かない
アリスの無事を確かめてから、置き土産となった形のコンソールに駆け寄るキリトさん。加速倍率を1倍にする確認ダイアログでAcceptを選び、「菊岡っぁぁぁ!!」と叫ぶも、聞こえてくるのは銃声。ラースは何者かの襲撃を受けている?
訳の分からないままに「アリスを捜せ」と言われるキリトさん。ここにいる、と返すと「ワールド・エンド・オールター、東の大門から出てずっと南へ」との指令が下る。
シーン変わってラース内。「ライトキューブクラスタの電源ラインは傷つけるな」と命じるガブリエル・ミラーは、ラースの主電源を落として中枢を掌握しようとする。アスナの避難とキリト(現実)の保護を語る菊岡の声に驚愕するキリトさん。
キリトさんの眠るSTLに駆け寄ったのだろうか、「キリトくんっ!」と叫ぶアスナの姿を見ながら、エンディングに突入。これ、アニメ初見組にはかなりのクリフハンガーぶりなのではないか。
次回は半年後、アンダーワールド大戦
次回は2019年10月放送の3期。アンダーワールド大戦編だ。これもまた長いし、インフレぶりが凄い。アニメではスピード感を取り戻せるか。
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