無職転生Ⅱ第9話「白い仮面」は、無職転生の作品世界の謎を一気に解き明かすネタバレ回。狂言回しはサイレント・セブンスターことナナホシだ。説明回なのにしっかり会話劇になっており、声優の地力が垣間見える神回だった。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
フィッツとフィットア領転移事件について調べるルーデウス。転移と召喚が似ていることから、ルーデウスは召喚魔術の知識を得るべく、大学で召喚魔術を専門的に研究している特別生のサイレント・セブンスターという人物を訪ねる。その人物の正体とは…。
https://mushokutensei.jp/story/2-09/
アバンは、ルディに自分がシルフィエットだと言い出せないフィッツ先輩の苦悩シーンから。プルセナとじゃれ合うルーデウスを見て、ああいう子がいいのかな…、と落ち込む。ああいう、というのはお胸が豊か、ということです。
アリエル様とルークに、まだ名乗ってすらいないことを明かすフィッツ先輩。フィッツを使っても構わないので、あなたの好きにやりなさい、とお墨付きをもらう。少しずつ事態を動かしたところでアバンは終わり。
サイレント・セブンスター
サブタイトルの「白い仮面」は、既に登場済みのナナホシさんである。転移について調べるルーデウスは、召喚との類似性に気づき召喚魔術に詳しい人をフィッツ先輩に紹介してもらう。特別生のサイレント・セブンスター。その名前を聞き、食堂のメニューや制服、黒板と、前世から知っている知識や技術をもたらした人物だと、前世の男の声で振り返る。日本と関係があるとうすうす感づいている。
サイレント・セブンスターは、訪ねてきたルーデウスを見て
「また会ったわね」
と声をかける。オルステッドとともにいた、仮面の女。その女との再会に動揺して部屋を飛び出し、「いきなり逃げるなんて失礼じゃない?」と追いかけてきた仮面の女を前に気を失うルーデウス。
ここからは、ナナホシと「日本語」で会話するシーンが続く。アニメ版でどうするのかと気にしていたが、気絶から目を覚ましたときに、人間語で会話するフィッツ先輩、というカットを入れてきた。1期1話の誕生時と同じだ。転生直後で母語ではない。
仮面の女は三つの質問を投げかける。
・「篠原秋人」「黒木誠司」と書かれた日本語のメモを見せ、見覚えはあるか?
・日本語で話しかけ、この言葉は分かるか?
・この二つのうち、どっち?
というものだ。ルーデウスの前世の記憶がよみがえる。人名に心当たりは無いが、仮面を外した女の素顔を前に、ルーデウスは転生前に見た女子高生を思い出す。
日本語で話し始めるルーデウス。その反応に女は「私の名前はナナホシ・シズカ。日本人よ」と微笑さえ見せる。
一歩前進したと機嫌が良いナナホシ。オルステッドに生かしてもらっておいてよかった、と無邪気に言う。
オルステッドはルーデウスのことを知らなかった。龍神が知らない存在が、自分と同じ転移者だと理解してそう進言した。これだけでもナナホシの頭の回転の速さが分かる。
ルーデウスと親し気なナナホシに、シルフィはかなり嫉妬する。原作ではナナホシの描写にそのような印象は受けなかったが、アニメ版では「(こりゃ嫉妬するわ…)」という描写になっている。
名前を聞くナナホシだが、返ってきたのはルーデウス・グレイラット。偽名よね、あんなことがあったのだから警戒するのは仕方ない、とどんどん先回りして納得していく。このちょっとイラっとさせるところがうまい。
元の世界に戻るために協力しよう、とルーデウスの手を握るナナホシ。その手を握り返すことなく、「元の世界になんて、帰りたくない」と絞り出すような声で言うルーデウスでAパートは終了だ。
転移事件の真相
ルーデウスは自分がナナホシと違い、赤ん坊として生まれて育った事情を話す。転生と転移の違い。ナナホシの生い立ちもまあ大変だ。アスラ王国に転移し、オルステッドに保護された。
その時に会った敵の一人がルーデウスたち。オルステッドはなぜヒトガミと争っているのか、とルーデウスが聞くと、ナナホシは個人的な恨み、と答える。
1年で世界を回ったわ、とナナホシ。そこに引っかかるルーデウスが方法を聞くと、転移魔方陣の存在を明かす。とある人に、召喚されたのではないか、と聞かされたナナホシ。
ナナホシは転移者として、この世界、無職転生の六面世界から排除されると心配している。異物、と自分たちを称するナナホシ。
ナナホシは魔力がゼロなのだという。しかも年を取らない。
身の上話を打ち切り、ルーデウスに取引を持ち掛けるナナホシ。不老だけど不死ではない、として魔力と知識のギブ・アンド・テイクを持ち掛ける。元の世界に戻りたいからだ。
元の世界に何の未練もない、とルーデウス。ナナホシは大往生だったのね、と納得する。
取引について、しばらく考えたのちに同意するルーデウス。手のひらを返すのを心配するナナホシに、男に二言はありません、という返事に、日本の言葉を聞くと感動する、とナナホシ。
ここからは、こっちの言葉で、で日本語の会話は終わり。シルフィが会話に加わる。転移事件の話だ。ナナホシは「私が原因…かもしれない」と、指輪をはめてから告白する。
逆上するシルフィ。魔術と物理でナナホシに襲い掛かる。
フィッツ先輩を羽交い絞めにし、説明が足りなかったと詫びるルーデウス。しばらく日本語で話していたので無理もない。ナナホシは被害者なんだと、フィッツ先輩に伝える。
互いに謝罪するナナホシとフィッツ。ナナホシは、誰が、どんな目的で、なぜあんな被害になったのかは分からないという。オルステッドでさえ、転移事件について、こんなことは初めてだ、と称していたようだ。
研究が進めば理論的には説明できるはず、とナナホシ。僕の存在は渡りに船、というルーデウスの言葉を、渡りに船、とうれしそうに復唱するナナホシ。
ここまで、ほぼ会話劇に近い。ナナホシの声優さんは「空の青さを知る人よ」で知った若山詩音氏で、無職転生では凄みが増している感がある。ナナホシの感情の動きはアニメ版のセリフだけでも十分伝わってくる。
フィッツ先輩とルーデウスの距離
帰路につくルーデウスとシルフィ。彼女のことをどう思っているのか、と聞くフィッツ先輩に、気に食わない部分があるが一応信用する、と答えるルーデウス。フィッツ先輩は気を取り直したように歩き出す。
次回は「この気持ち」
次回のサブタイトルは「この気持ち」。原作には無い副題だが、フィッツ先輩とルーデウス、互いが抱く気持ちに決着を付ける回になるはずだ。
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