「その着せ替え人形は恋をする」のアニメ版2期、シーズン2の13話は、初見組に配慮した導入回だ。原作6巻とはエピソードの順番を入れ替え、話に入りやすくしている。相変わらず、丁寧な脚本だ。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
STORY
雛人形の頭師を目指す五条新菜と、アニメやゲームが大好きなギャル・喜多川海夢。さまざまな作品のコスプレを通して距離を縮めてきた二人は、次に海夢の好きなアニメ『こちカン』に登場する殺し屋・十六夜ありさのバニーガール衣装を作ることに。衣装作りに慣れてきたという新菜だったが……。STAFF
https://bisquedoll-anime.com/story/?id=13
脚本
:冨田頼子
絵コンテ・演出
:篠原啓輔
作画監督
:石田一将、山崎淳
話数逆転のワケ
6巻は、次の14話「おっぱいは装備できるから」で始まり、今回の13話で終わる。アニメ版ではこれを入れ替え、『こちカン』のバニーガールコスからのスタートだ。

大まかに、
(1)『こちカン』の話をしながらコスの話をする海夢と新菜
(2)仲睦まじい二人を見てほほーという表情を見せる乃羽
(3)ユザワヤで宇佐美さんとバニーガールコスの相談
(4)バニーガールコスチュームを作成して撮影
(5)そのまま流れでハロウィンコスプレに合流
(6)海夢の友達勢である陽キャに囲まれる新菜だが、雛人形師に理解のある陽キャに驚く
(7)カラオケ絶叫中の乃羽に「五条君と海夢って付き合ってんの~っ!!!!」とコールされジュース噴く新菜
という構成だ。これ、2期からアニメを見た人が、乃羽と同じ視点で視聴することを狙っている。もっとも、構図はほぼ原作と同じなので、要は原作で同じ仕掛けをしているものを、きちんとアニメ2期1話目に持ってきた、というだけといえばだけである。

そう、二人は別に付き合ってはいない。一歩引いてみれば、「は?付き合ってないの??」となって終わるのが13話の面白いところだ。
まだ他人の宇佐美さん
順番を入れ替えたことで、ユザワヤの宇佐美さんとの交流はやや薄まったのがアニメ版の脚本。原作では、宇佐美さんとは顔見知りとして相談を持ち掛けるシーンが、アニメ版では単なる店員と来店客のやり取りになっている。三面図持ってくる客なんて、一発で覚えてもよさそうだが、アニメ版ではバニーガールコスの相談をしてくる男性客に驚き納得する宇佐美さん、という話になっている。

バニーガールコスのシーンは、タイトル通り海夢の魅力を視聴者に伝えるパート。円盤一発目の売り上げも左右するところなので、この順番はその意味でもアリだ。14話は女装回なので、これを2期のしょっぱなに持ってくるのは冒険が過ぎる。逆に売れるのかもしれんが。

ハロウィンのコスプレイベントに繰り出して、打ち上げはカラオケである。

この場で、海夢の雫たんコスプレのメイクを新菜がした話題になり、過去にのんちゃんに雛人形への想いに対して「気持ち悪い」と言われた新菜のトラウマがよみがえる。ただ別に今は男もメイクするよねー、みたいな話になり、いい意味で拍子抜けする新菜である。

このエピソードが2期初回の13話で出るのは、ファインプレーだ。原作でもこの順番の方が良いのでは?と思うくらいに。
14話につながる「気持ち悪い」
ここからは次の14話のネタバレになる。
14話に登場するコスプレイヤー、姫野あまね。そのあまねは、性別は男性だ。持ち前の美形と女装テクを生かし、コスプレを楽しんでいる。あまねもまた、人の評価にトラウマを持つ人物だ。とあるシーンで、新菜は「気持ち悪いって言わない」とあまねに言い切る。
アニメ組、特に2期からのアニメ組からすると、13話で「化粧できる→気持ち悪いって言われそう」というシーンを踏まえたうえで、14話であまねのエピソードをすんなりと受容できる構成といえる。
新菜が「気持ち悪い」という言葉を絶対言わない、と勢い込んで言うには、この順番がふさわしいように感じる。もっとものんちゃんはことあるごとに出てくるトラウマなので、いちいち反応する、という構図があれば原作通りの順番でも構わないのかもしれない。
ジュース噴き出して終わり、次回予告、という映像化したときのテンポの良さも2期ファーストにはふさわしいね。

次回は14話「おっぱいは装備できるから」
次回は原作では6巻前半の水族館デート+姫野あまね登場回。原作では笑いで性別がわかるねー、的なエピソードが出てくるが、さてアニメ版ではどうなるか。
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