無職転生Ⅱ 第23話「帰ろう」ネタバレ感想

無職転生Ⅱ第23話「帰ろう」では、前世と同じ失敗を繰り返したと絶望するルーデウスが立ち直り、家族との絆を保つ糸口を見つけようとする。次の最終話にアニメ版独自の説得力を持たせる布石が打たれている重要な回だ。

ネタバレ回避のあらすじは以下。

マナタイトヒュドラとの壮絶な死闘の末、ゼニスを救出したルーデウスたち。その代償は、ルーデウスの左腕と、パウロの命。さらにゼニスは心を失くしたかのようになっていた…。父パウロの死に、後悔と絶望がルーデウスに押し寄せる。そんな彼にロキシーが声をかけて…。

https://mushokutensei.jp/story/2-23/

ルーデウスの後悔

この回想は、前回のCパートの前、ベッドに横たわっていたルーデウスの夢の話だ。

何やら話し込んでいる両親。その光景から、自分が両親の葬式に出なかったこと、両親を愛してなかったことを思い出す。

そんな自分は、パウロの子供という自覚がないまま、去った。パウロは俺の父親だったんだ、と気付く。もう、遅い。

ルーデウスは結局、前世と同じ失敗をした。その一点を簡潔に伝えるアバンだ。原作ではそれなりに字数が割かれ、逡巡が読者に伝わる構成だった。

Aパート。ルーデウスの許にロキシーがやってくる。気分転換に出かけないかと誘うロキシーに、そんな気分ではないと断るルーデウス。ロキシーを家庭教師として迎え入れたブエナ村の思い出を、一番幸せな時期だったかもしれない、とロキシーは言う。

ロキシーはルーデウスと悲しみを分かち合いたい一心で、自分も身近な人を無くしたことがある、と過去のエピソードを話す。ルーデウスの答えは残酷だ。
嘘つかないでくださいよ!

ロキシーの両親はミグルド族の村で元気に暮らしている。パウロを失い、ゼニスも元通りではないルーデウスとは境遇が違う。

ルーデウスは、やり直してうまくやれている気になっていたこと、自分が家族との確執から目を背けていたこと、をロキシーに声を震わせながら語る。

ロキシーは、パウロのことを言っているのだと思い、家族の温かみを教えてくれたパウロたちは第二の家族だ、とルーデウスに言う。

だから、あなたと悲しみを分かち合いたいんです。

私に任せてください、とルーデウスを押し倒すロキシー。

一夜が明け、ロキシーに「僕はこれからどうすればいいでしょうか?」と聞くルーデウス。「今、目の前にいる家族を大事にするしかないでしょう」と答えるロキシー。ルーデウスは前を向き始める。

シャリーアに帰還

Bパートは、ルーデウスの部屋から出てくるロキシーに、驚いたような表情を見せるエリナリーゼさんのシーンから。ロキシーは、エリナリーゼさんと話がる、として、ルーデウスにリーリャのところに一人で行くことを促す。

リーリャはゼニスに食事の世話をしているところだった。不思議と身体は健康そうなのだという。これからもゼニスの面倒を見ると断言するリーリャに、ルーデウスは助力を申し出る。リーリャの返答は、必要ありません、と素っ気ない。

少しだけ失礼な物言いを許していただいてもよろしいでしょうか?、と前置いて、リーリャは「あなたは自分のやるべきことをなさい」と言い切る。ルーデウスは「帰りましょう。家族のところへ」とシャリーアへと帰還する気力を取り戻す。

ロキシーの逡巡

帰還の最中、ロキシーはルーデウスに寄り添うように振る舞う。ルーデウスもロキシーの事は好きだが、シルフィに操を立てると誓った身である。

自分が結婚していて子供も生まれることを伝え、あまり恋人みたいな感じは申し訳ないんですけど…と距離を置こうとするルーデウスに「知っています」と淡々と告げるロキシー。エリナリーゼさんに聞いたとのこと。私はルディが弱っているところに付け込んだだけだと言い、この旅の間だけで、戻ったら奥さんを大切に、と身を引く覚悟のロキシー。

せめて何か恩返しを、というルーデウスに、言い訳を聞いてもらってもいいかと返すロキシー。もう、止まらない。

迷宮で助けられたときに一目惚れだったこと。
ルーデウスを放っておくエリナリーゼやギースを前に、愛する人がいるとはいえ自分がルーデウスを立ち直らせるしかないと思ったこと。

好きなんですもん。ひどいですよ…あんまりですよ…

ロキシーの言い訳に、せめて旅の間だけでも、と提案するルーデウスに「やめてください、そういうのは」と冷静に伝えるロキシーである。

転移魔方陣を使い、シャリーア近郊の森にたどり着いた一行。その道中で、エリナリーゼさんはルーデウスにこう話す。ミリス教徒でないのなら、ロキシーを娶れと。

エリナリーゼさんはロキシーの友人だ。身を引くつもりのロキシーを見ていられない、と。(シルフィの祖母である)私だから言える、と。

ここでパウロの話になる。パウロはリーリャを娶った後にゼニスは不幸になったのかと。

一転、ロキシーに話があると切り出すルーデウス。味噌汁を作ってほしい、的な遠回しなプロポーズとして、ロキシー・グレイラットに名前を変えるつもりはありませんか?と言葉にする。さらに「愛しています」とはっきりした言葉でも気持ちを伝える。

顔を赤らめるロキシーだが、一歩引いて「奥さんの了承は取らなくてもいいんですか?」と打ち返す。取らなきゃいけない、というルーデウスに、その後でもう一度聞かせてください、と答える。

夜が明けて、パウロの剣を撫でながら「なんだ…同じじゃん」と複雑な笑みを浮かべるルーデウスのシーンで、今回は終了だ。

「愛しています」と言葉にしたルーデウス

原作では、遠回しにプロポーズするだけで、愛しています、とは言っていない。その後でもう一度、というロキシーのセリフを生かすために、付け加えたのだろう。

第21話のパウロの「二振りの剣」の遺言は、今回のラストにつながっている。同じじゃん、という台詞もアニメ版オリジナルだ。見せる剣を二振りにするのはさすがにやりすぎということか。

来週、自宅への帰還後に修羅場が待っている。最終回となる24話は、大幅な原作改変があるのではないか。

ミリス教徒であるノルンが、現代日本の一夫多妻を是としない視聴者の立場を代表する。対してパウロを筆頭に、一夫多妻を受け入れる六面世界の文化がある。

ロキシーを妻に迎え、家族との絆も保つ。その描写に説得力を持たせる布石は、2期全体を通じて打たれてきた。例えば改変の一つとして、シルフィの了承を取ったうえでロキシーに改めてプロポーズをするシーンがあるのではないか。

今回、理不尽な孫の手先生は、脚本に名を連ねなかった。1期のラストと同様に、最終話のクレジットに注目したい。

次回は「嗣ぐ」

次回のサブタイトルは「嗣ぐ」。つぐ、継ぐ、ということで、パウロという男の人生を嗣ぐ意図をこめているのだろうか。ルーデウスジュニアまで含むだろうか。

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