AIに人権を
SAO アリシゼーション WoU 第22話「アリス」は、某ゲームでも空気を変えた「愛を語るAI」、エンディング・テーマの「I will…」を生かした特殊エンディングと、もはやバトルシーン以上に震えがくる神回だ。
アメリカ国家安全保障局が裏で糸を引く、《ラース襲撃事件》は終わりを告げた。新たに発足した海洋資源探査研究機構の代表に就任した凛子は、アリスを真正人工汎用知能として世間へ公表する。集まった記者たちの質問に答えていくアリス。そして、シノンやリーファたちはダイシーカフェでその映像を見ていたが、しかしそこにはキリトとアスナの姿はなかった……。
https://sao-alicization.net/story/?id=22
脚本:中本宗応
絵コンテ:山田晃
演出:山田晃
総作画監督:山本由美子
作画監督:石川愛理、たかはし隆子、今岡大、横松雄馬、鈴木理彩、山本由美子
STLに横たわる二人の映像をバックに、アリスが記者会見に登場する。アリシゼーション計画で成果がアリスというのはでき過ぎだが、そうなっている。
騎士の礼のしぐさながら、帰還者学校の制服で挨拶をするアリス。
「アリス・シンセシス・サーティです」
ちょっと震えた。ライトキューブの中の人格が、形を成した瞬間への…。これはアニメ版ならではの感覚だ。アンダーワールドのアリスの声に、若干ディストーションとリバーブをかけたような処理がなされていたが、これは単に放送の音声というだけで、電子音っぽさは無い。
Web版や小説版では、アリスの声に残るわずかな電子音、という表現をいくつかしている。たが今や各種ディープラーニングで肉声に近い音声合成も夢ではなくなった。なので、この作品世界であれば、フラクトライトがコントロールする人工声帯によって人間と変わらない発話をしてもおかしくはないだろう。
アンダーワールドでしばし同じ時をともに過ごしたシノンは、画面越しだとほとんど違いは(無い)と嘆息する。
記者会見は、人類が真正AIを眼前に見たらこう言うのだろうな、という質問を並べ、それを論破していくアリス、という形で、その存在感を人工物からヒトへと変えていく。
産業用ロボットへのAI参入の期待と恐れに対して、人工フラクトライトは、短時間で生産できる存在ではない、と凛子は答える。一から育てるならそうだ。コピーは可能なのだが。
見知らぬ世界で独り、というのは、アスナがいたキリトよりも過酷だ。リアルワールド人と交流を重ね、一人のリアルワールド人を、私は愛してすらいます、と告白するアリス。
愛を語るその姿に、凛子、司会、そして記者たちが静かに驚愕するのは痛快だ。これ、Detroit: Become Humanで見たやつ…
キリトの目覚め
場面変わってオーシャンタートル。アリスの記者会見とオーシャンタートル襲撃事件を報じる番組を見る比嘉。菊岡は死亡、と報じられるも、当たり前のように偽装。比嘉の隣に現れる。
本来、アリシゼーション計画は、無人兵器のための汎用AIを開発するためのもの。大々的な記者会見は兵器化に際してはマイナスだが、あえて完成した汎用AIを日本が持つ事実を公表することで、共同開発の名を借りた技術の詐取を防ぐ、というのが狙いだ。
と、そんな話をしていると、キリトさんのSTLモニターに反応が!
場面変わって、まだ続いている記者会見。何らかの通信を傍受したのか、「急用ができた」と告げ、会見場から姿を消すアリス。当然、キリトの元に急ぐ。
手を握るアリスに、「やあ、アリス。久しぶりだね」と話しかけるキリトさん。続く言葉は、アリスの妹であるセルカが、ディープフリーズ状態でセントラル・カテドラルの80階で待っている、というもの。キリトさん、あの世界のアドミン様である。
限界加速フェーズからの200年分の記憶の消去を申し出るキリト。その理由として語るのはひと言。
「俺と王妃の役目はもう終わった」
原作では、アスナとアンダーワールドの神聖語…つまり英語で会話を交わしながら目覚めるのだが、そこはカット。というか、アニメ版ではアスナさんは同時には目覚めなかったようだ。アリスが会見場で語った愛からつながるところなので、アスナさんがこの場にいると話が濁る、ということか。
キリトを見舞うアスナ
CM明け、入院中のキリトを見舞うアスナさんのシーンから。キリトは現実世界で筋弛緩剤を打たれて意識不明になってから、一カ月間寝たきりだった。
ここで、消去する直前の、アンダーワールド大戦の終戦の模様が回想シーンで入る。ロニエとティーゼ、そしてソルティリーナさんと落ち合い、キリトさんとアスナさんで凱旋し、東の大門でファナティオ達と落ち合うとこまで。
アスナに続いて、菊岡も病室へ入ってくる。話題はアンダーワールドの今後のことだ。オーシャンタートルの維持はこのままではほぼ絶望とのこと。その対処策として語ったのは、政府内の駆け引きが続いている間に、人工フラクトライトの人権を認める方向に世論を誘導すること。
世論誘導のために、ザ・シード・ネクサス、シード連続体によってアンダーワールド人とリアルワールドの交流を進める必要がある。だが各種VRMMOとアンダーワールドの接続には、大容量通信回線の不足がネックだ。
エル・プサイ・コングルゥ比嘉
ここで比嘉のアパートに場面が移る。なぜか手元にあるライトキューブ。何かプログラムを実行すると、スピーカーからは、
「そこにいるのは、比嘉さんかな」
というキリトの声が。
比嘉はこっそり、200年の時を生き抜いたキリトのフラクトライトのコピーを取っていた。前代未聞の、想定寿命を超えた存在を、消せるはずがないと比嘉は叫ぶ。やってはいけないことですよ。これ。
キリト2は、自分のコピーが一つだけであることを確認し、自身の使命をアンダーワールドの守護者だと話す。オーシャンタートルの核燃料があと4、5年はもつことを確認すると、回線の確保のために「戦う」ことを宣言する。
回線はある、と。茅場晶彦の力を借りると。
茅場晶彦はSAO事件のゲームクリア時に、自身の意識をコピーした。そのコピーとキリトのコピー。二人が出会ったら一体なにが起こるのかと、戦慄する比嘉である。
暗号化したメッセージを昔の伝手を頼って流してみる、と比嘉。ここ、原作にある「まずは、彼を捜さねばならない」というキリトのセリフがカットされているので、非常に分かりにくい。どちらにせよ、茅場への道がこれで開けるとは思えないが…
慟哭のキリトとアリス
ここから特殊エンディングのCパート。
退院して自宅に戻ったキリトさん。ユージオとの思い出がよぎり、いっそアンダーワールドで過ごした2年間の記憶も消去してもらうんだった、と自室で号泣する。
そこに直葉が部屋に入ってきて、アンダーワールドあった、楽しいこと、悲しいこと、全部話して、と声をかける。
エンディングテーマの「I will…」の歌詞の一節、「泣かないで、誰より優しい人よ」がかぶる。このために…! そうなのかな?
さらにCパートは続く。
人類初の真正汎用AIとして、どこぞのホテルでレセプションに参加するアリス。窓の外を見やり、「キリト、私、しおれてしまいそうです」と独り言つ。たった独りの外交使節は剣でなく弁舌を振るうのに疲れ果てた様子。
場面は戻って、直葉にアンダーワールドの思い出を語り、徹夜明けで眠り込むキリトさん。そこに凛子さんから電話が…というところで終わり。
原作だと、しおれてしまいそう、はキリトにボイスチャットで話すセリフなのだが、次回へのクリフハンガーとして使われた。まあ、驚くからね。次回の冒頭は白眉だからね。アリシゼーション編全部の。いやSAO全部かな?
次回のタイトルは「ニューワールド」。たぶん、原作のあそこで終わる。でも23話であそこまでいくと、もう残りは少ない。24話はもたない。アニメ版のアリシゼーションは24話で18巻を超えた何かを入れてくるのか…?
と思ったら23話で最終回らしい。ああ、それなら納得だ。
コメント
小説とアニメが、微妙に違うし泣
私の気に入っていたシーンカットされていたから、とても残念だった。
詳しくやらないからだと思うけど…アニメだと何かキリトくんってアスナちゃんよりユージオくんの方か、好きみたいに感じてしまうのは、私だけかなあ?キリトくん推しの私だけどアスナちゃんともっとラブラブして欲しい。アスナちゃんのキリトくん想いには、感動してる!アスナちゃんは、素晴らしい女の子だよね。キリトくん幸せだよね~