無職転生Ⅱ第22話「親」は、ゼニス救出のために神話級の魔物であるマナタイトヒュドラに挑む。父親であるパウロ、母親であるゼニス。やり直した両親との関係は、一つの結末を迎える。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
最終階層へと転移したルーデウスたちは、ついにゼニスの姿を確認する!しかしそこに、この迷宮の守護者<ガーディアン>と思われる、巨大なヒュドラが立ちふさがる。そのヒュドラは絶滅したはずの伝説の生き物、“悪魔の竜”とも呼ばれる強敵だった―!
https://mushokutensei.jp/story/2-22/
ガーディアンとの前哨戦
アバンは迷宮の守護者(ガーディアン)へとつながるであろう転移魔方陣のシーンから。準備のために引き返さず、そのまま先へと進むパウロたち。
ルーデウスに向かってパウロが「こんなことを言うのも悪いと思うんだが」と言い始めるも、じゃあ言わないでくださいと死亡フラグを折りにいく。決戦前に大事なことを言わせるもんじゃない。そういうのは帰ってからでいいのだ、というルーデウスのモノローグが入る。
前回、原作では言わなかった忠告、二振りの剣のことをアニメ版のパウロは口に出した。
自分が二振りの剣を使っていて、前は一振りで十分だったが今はこの二振りがないとしっくりこない。どちらも愛着があるし役割が違う。
アニメ組にはネタバレだが、伏線が張られているようにルーデウスはロキシーを二人目の妻として迎える。この世界で一夫多妻は珍しいことではない。そもそも、パウロはゼニスとリーリャ、二人の妻を持つ。そう仕向けたのはルディでもある。
シルフィーに子が生まれるという時に、ロキシーを妻として迎える。その違和感を少しでも無くすための脚本だろう。これがパウロの遺言となる。
この決戦前に何を言おうとしたのかは、原作同様アニメ版でも明かされない。こんな時に、こんなことを、というのだから、やはりロキシーのことなのかもしれない。
Aパートは、いきなりヒュドラとの決戦だ。転移後にヒュドラの背後に目を向けると、魔力結晶の中にゼニスの姿があった。呆然とする一行の中で、パウロが一気にヒュドラに向けて攻撃を仕掛ける。
パウロを追うエリナリーゼとタルハンド。始まったらやるしかない。一歩遅れてロキシーとルーデウスがアイススマッシュとストーンキャノンを放つも、無力化される。タルハンドの土魔術、アースピラーも同じだ。
物理攻撃で次々と首を切り落とすパウロ。ルーデウスは自分にできることが無いことに気づき、続行か?と迷う。その時、ヒュドラの切り口から新たな頭が生え、再生を始める。「撤退しましょう!」とロキシーが声を上げるも、猪突猛進するパウロ。
ギースの煙幕をものともせず撤退を拒むパウロをエリナリーゼさんがしばき、ガーディアンの部屋からへの撤退戦へと移る。ルーデウスが濃霧を作り出し、その隙に転移魔方陣にたどり着く。
親子げんか
撤退後、ゼニスの様子を「あれで、生きているんでしょうか」と口にしてしまうルーデウス。冷静に状況を観察して発言する様子にパウロは激高する。何でそんなに落ち着いていられるのかと。
転生者であるルーデウスは、ゼニスを母親として慕う気持ちが薄い。しかもシルフィーから引き離されてエリスの元へと送られたので、7歳で分かれて以降会っていないのだ。
パウロとのすれ違いに、ルーデウスは余裕を見せる。こんな風になるのは初めてじゃない。ちょっと歯車が狂っただけだ、と。
結晶化したゼニスについて、ロキシーは「なんとかできると思います」と言い、エリナリーゼさんも「今のゼニスと似たようなことになった人物を知っていますけど、ちゃんと今も生きていますわ」と話す。
原作では、ロキシーは「ガーディアンを倒すと結晶化が溶ける」旨を説明する。エリナリーゼさんはアニメ版とほぼ同じだ。かなり後で明かされるが、その人物とはエリナリーゼ本人である。ルーデウスは(これは嘘だろう)という感想を持つが、嘘はついていない。生きてはいる。
とにかくヒュドラを倒す、という話になったところで、ロキシーが守護者のヒュドラが魔力を吸収する魔石が鱗のマナタイトヒュドラではないかと言う。魔術もゼロ距離で撃ち込めば通用するはず、という本で読んだという知識が加わるも、再生能力には手の打ちようがない。
ここでルーデウスが、ヒュドラの首を火であぶれば再生しないのでは、という前世のギリシャ神話の話をする。試してみる価値はあるか、と案外乗り気だ。S級冒険者パーティの感か、ルーデウスへの信頼か。
話がまとまり、パーティ一行に「力を貸してくれ」と改まるパウロ。ルーデウスには、親の言うべきことじゃねぇが、と前置いた上で、「死んでも母さんを助けろ」と伝える。
マナタイトヒュドラとの再戦
準備を整え、再びマナタイトヒュドラに挑むパウロたち。パウロが首を落とし、ルーデウスが断面を焼く。他のメンバーが他の首との死闘を繰り広げながらの作業だ。再生しないことを確認し、次々と首を落としていく。
マナタイトヒュドラも知能はある。断面を自ら噛み千切り、再生させようとする。エリナリーゼがアイススマッシュで止め、ロキシーがフレイムスロワーで焼く。
残り三本の首。いったん動きを止め、こちらに向き直る。ルーデウスは「ブレスが来ます!」と意図に気づき、パーティを集結させ水壁で守る。アニメ版では特に説明台詞は無いが、無尽蔵の魔力があるルーデウスでなければドラゴンブレスを打ち消し続けることなどできない。
残り二本。勝利ムードが出る中、ヒュドラは首そのものを振り回す攻撃に出る。ルーデウスに蹴りを入れて攻撃をいなすパウロ。ルーデウスの眼前にヒュドラの顏が迫り、その眼に左手をねじ込んでストーンキャノンを放つ。ロキシーを呼び、フレイムスローで止めを刺す。
左手を失いつつ、マナタイトヒュドラを仕留めたルーデウス。上級治癒魔術で止血するも、上級では手首から先は元に戻らない。
「…助かりました,父さん」
と声をかけようとするルーデウス。呆然としているエリナリーゼ、タルハンド、ロキシーの視線の先には、上半身だけのパウロの姿があった。
帰還
魔力結晶から解放されたゼニスを背に、無言のまま帰還する一行。
特殊エンディングに入り、セリフ無しでシェラとヴェラ、リーリャが一度は喜び、パウロの姿が無いことに気づく様が描かれる。
宿のベッドに横たわり、ろうそくの火を見て迷宮でパウロを荼毘に付したことを思い出すルーデウス。原作では帰還の時の流れでスケルトン化を防ぐためにルーデウスが火葬している様子が帰還時の流れで普通に描かれる。宿で呆然としているとき、どこかの灯りを見てきっと思い出しただろう。切なくも穏やかな、アニメ版ならではの演出だ。
ゼニスの目覚め
特殊エンディングが終わってCパートに入る。意識不明のままのゼニスを前に看病をするルーデウスとリーリャ。宿に着いて一日で、ゆっくり目を覚ます。
おはようございます、奥様、とリーリャが喜びの声をかける。それに対する反応は、あ、あー、と言葉にならない声。一転、愕然とするリーリャとルーデウス。パウロだけでなく、ゼニスもまた失ったのだ。タイトルを回収して、22話は終わる。
次回は「帰ろう」
次回のタイトルは「帰ろう」。迷宮からの帰還の次は、家族の待つシャリーアへと帰る。この2期ラストの説得力のために、ここまでの脚本と演出は工夫をこらしてきたはず。23話に[終]マークが無いのだが、24話まであるんだろうか。
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