シルフィがヒロイン2である理由
無職転生の第3話「友達」は、主人公が長大な物語な中で自分の立ち位置を確認する標となるヒロインその2、シルフィことシルフィエットが登場する回だ。ヒロインその1のロキシーと同じく、しぐさで感情移入させる演出にしびれた。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
村はずれでいじめの現場を目撃したルーデウス。その光景に前世の苦い記憶を思い出しながらも、いじめられていた子供・シルフを助ける。前世でできなかったことを少しずつ“やり直す”と決めていたルーデウスはシルフと友達に。この世界で初めての友達に魔術を教え始めるのだが……。
https://mushokutensei.jp/story/3/
震撼のオープニング演出
最初は前回のラストの続き、「やっと始められるんだ」の杉田ボイスでスタート。心からの感謝を抱きつつ寂しげな表情を見せるルディである。
ロキシーのパンツを神棚のようにあおぐルディ、パウロとゼニスとの日常を経て、ようやくオープニングに入る。外に出て、村人に挨拶をし、ゼニスからのプレゼントである植物図鑑を片手に森に入るルディ。
そう、ここからこの物語は始まった。驚くべきことに「異世界に行ったら本気だす」の副題を演出に取り入れている!
通常オープニングの曲を披露しつつ、完全に意味のある特殊オープニングときた。ありがとうありがとう。
最後、「ご神体を大切にしよう」でオープニング終了。無職転生は常に軽い下ネタを挟んでくるところが好き嫌いが分かれるところだ。アニメ版にもその特徴はそのまま出ている、というか出している。杉田ボイスなので違和感は無い。
いじめられる魔族
帰りしな、誰かがいじめられている場面に遭遇する。泥団子を投げつけられ、ローブは泥だらけだ。ルディが追い払い、フードを外して泥を落としてあげようとする。ウォーターボールを温めながら出す簡易シャワーだ。さらに温風で髪を乾かしてあげる。
シルフ、と名乗ったところで風が吹き、言葉をさえぎられる緑髪の性別不詳奴。ルディにさっきの魔法を教えて、と積極性を見せる。
髪の毛の色が緑なので、魔族だと思うルディ。額に宝石なようなものがある魔族、スペルド族に気を付けろ、というロキシーの言葉を思い出すルディだったが、そうではないようだ。
パウロの悲哀
家に着くと、玄関先でパウロが待ち構えていた。ソマル坊をなぐったらしいじゃないか、と叱責をしようとする。だが中身が実年齢+34歳のルディは、理由を聞かずに叱ってくるパウロを軽くいなす。親としての自信を失うパウロさんだった。
父親らしくあろうとするパウロと、中身が大人のルディの相性はあまりよくない。このすれ違いは、後に物語上で大きな意味を持ってくる。割とこってりと描いている理由はそこにある。
パウロも若くして家を出た経験がある。過去の自分の行為をゼニスと振り返り、こんな気持ちだったのかな、と話すパウロだった。
シルフ(仮称)と伝説の樹
Bパートは、森で木剣を素振りするルディさんから。回想シーンで、いじめっ子のソマル坊の母親にパウロが謝っている。この母親、パウロに会いたくていちいち怒りにくるらしい。そう。パウロはモテるのだ。なのでこれから色々ある。
木剣を振り力尽きて仰向けに倒れこんだルディを、シルフが覗きこんでくる。
伝説の樹かよ。このシルフ(性別不詳)、一気にヒロイン格に昇格である。どうも魔法を教えてもらうために待ち合わせをしていたようだ。
いざ教えてみると、半年ほどでみるみる魔力総量が上がり、氷魔法やらなんやらをマスターしていくシルフさん。
混合魔法や無詠唱魔法に興味を持ち、チャレンジするとなんとできてしまう。ロキシーでもできなかったのに。
シルフからシルフィエットへ
突然の雨にずぶぬれになり、帰宅するルディとシルフ。リーリャに「お湯の準備ができております」と言われたルディは、シルフを2階に案内する。
たらい桶のお風呂が用意され、ルディが入り、そこにシルフもいる。ただし服は脱いでいない。何を恥ずかしがっているんだよ、と上着、ズボンを脱がし、さらにパンツにまで手をかける。本気で抵抗するシルフに、一度は諦めたと見せかけて一気に下ろす。
と、ないはずのものがあった。「彼は、彼女だったのだ」という杉田ボイスが痛い。気づけよ。
シルフィエットからシルフィ(女友達)へ
場面変わってパウロに諭されるルディ。今度のパウロは優しい。無理矢理女の子の服を脱がせた、ということになっている。会話の中で、名前がシルフではなくシルフィエットであることが分かるルディ。なおこの時点で、パウロはルディがシルフィエットを男だと勘違いしていたことを知らない。
1階に降りていくと、泣き止んだシルフィエットとゼニスとリーリャの姿が。本気で謝れ、というパウロその助言に、謝りながら
「今までずっと男だと思っていたんだ」
と絶叫するルディである。全員ポカーンで、また泣き出すシルフィエット。
パウロはうちの息子は意外と馬鹿なのかもしれない、と思う。
しばらくして、ルディはパウロの指南を受けてシルフィと仲直りする。友達を大切にしよう、と決意するルディであった。
シルフィの弱さを強調する意味
シルフィは声も震え声で実に弱々しい。原作のころから、無職転生のヒロインの中では自分にとって押しの弱い登場人物のひとりだった。アニメ版ではCV:茅野愛衣ということで、相応の演技力をもって情けなく弱いシルフィエットの映像化に成功しているように思う。
ここで弱さを強調するのは、あるタイミングで物語から退場し、また復活する際の成長を実感させるための伏線だ。この回では、しっかりとシルフィの情けなさを味わっておこう。
次回は「緊急家族会議」
次回は「緊急家族会議」。シルフィとの関係が暗転する。無職転生という物語は不安定だ。楽しくなってきたところで、別の楽しさに急激に場面転換する。だからこそ、なろうの累計1位を長らく保っていたのだ。ヒロイン3は…出てくるかな?
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