ケムリクサ 12話 ネタバレ感想 子供と大人

ケムリクサが大団円を迎えた。今世紀最大のクリフハンガーかよ、と思わせるエンディングの後に、きちんとエピローグ。すっきりと、はっきりと、りんとわかばの物語として幕を閉じた。

12話で明らかになったのは、大人にしか使えないケムリクサの機能を、りんは使えるということ。生物学的には、ケムリクサ年齢認証的には、大人だったわけだ。この世界の言葉は登場人物によって再定義されているので、大人＝20歳、ということでもないのだろう。

前回、わかばの半身を赤い根が持っていったような描写で終わるが、実際はみどりちゃん経由で貫かれていたので問題なく再生、という形で生きていた。ここの伏線は後でりんに結んでもらったみどりちゃんのおかげでやっぱり大丈夫でした、という展開につながる。

ではみどりちゃん万能なので安心して観ていられたかというと、まったくそんなことはなかった。絶体絶命、とこちらに思わせるシーンの連続だ。あ、これもう死んだ。そんな感じしかしない。 わかばは赤いケムリクサを操作しようとするものの「禁」の文字が出てどうにもできない。

わかばが赤い根に潰されているとき、駆け寄ろうとするりんの前にケムリクサでシールドを展開。手出しできないようにする。11話で見せた、ワカバとリリのように。

りんの記憶の葉が発動し、リリの回想に。ワカバは既に助けようのない状態になっており、最初の人メモの「ワカバを助ける」という目標を消す。「あとは好きに…」という言葉とともに、リリは姿を消す。

りんが気がつくと、りつとりなたちと連絡が取れ、みどりちゃんを入手。大人の特権でシールドを破壊し、さて反撃してわかばを救出…と期待を持たせるも、赤い根の猛攻を前に手足を欠損してしまう。もう絶望しかない。

と思ったら、姉たちが助けに来るの。強烈な印象を残しながら、忘れそうになっていた姉たちが。

りく、りょく、りょうの3人が、右腕と左腕を落としてから封印を解かないと倒せないテンプレラスボスのような赤い根を、 最後の力を振り絞って防御力ゼロの状態に持っていく。猛烈にホッとした。寝過ごしたっ！と目を覚ましたら休日だったくらいにホッとした。

とどめはりんの全力パンチ。見事な消滅エフェクトで赤い根は霧散する。姉たちが消滅しながら最後の言葉をかけ、その中でりょく姉さんが「ここ、船の果てじゃん」とわかばとりんによく調べるようにと促す。

ここで世界の裂け目が出現。エンディング曲がかかり、これで終わりでもケムリクサらしいけどそれはないよー、まだ何かあるでしょー、という期待を打ち砕くかのようにサビのコーラスにりん・りつ・りなが参加する特殊バージョンが出現！

ああっ、これ終わっちゃう、終わっちゃうよ…と打ちひしがれていたところに、エピローグ開始。陽光がきらめき、滝が流れる世界が眼前に。「そうか…！、船の外か！」とりん。いや、そうなの？

リリの代わりか、泣き始めるりん。顔をほころばせると、キラキラエフェクトの最高の笑顔で

「わかば………好きだっ」

ホワイトアウトして完。

わかばとワカバの統合は、子供としてのわかばと、大人としてのりん、という形で成された。なにこれすごい。

結局、すべては宇宙船の中の出来事で、下界の情報を転写して宇宙船内に展開していたのか。わかばとりんが見た世界は、水が豊富な、原始の状態に戻ったような地球だった。ケムリクサの動力源である水のある場所に母船を据えて、スキャナーはネットワーク型で別の場所にあるのかもしれない。

この後、いろいろと理解したりんたちは、たっぷりと水を蓄えて新しい世界を目指すのだろうか。どこかにあるかもしれない、それぞれの島のオリジナルを求めて。それとも宇宙船内に水を運び込み、ケムリクサに囲まれながら過ごすのだろうか。

「#たつきを信じろ」は健在だった。