ケムリクサをあまり入れ込まずに観ていたのだけれど、11話でようやく何か書いておくべきだと思った。のでキーボードを叩いている。ブログで感想を残しておきたいのは、伝えたいものがメディアを通じて心に響いてくるもの。ケムリクサはその一つになった。
今期はSAOアリシゼーションの感想だけを週1で書いている状態だ。SAOはアクセル・ワールドと合わせて人類の進化を描き出そうとしている。特にアリシゼーション編はAIの人権というテーマがある。ドラマ枠では相棒17がそれなりに世相を反映しているものの、筆致が軽めで頭で理解して終わり、別に書くこともない、という回が続いている。
ケムリクサ11話は、大人を描いた回だ。ケムリクサは、大人しか使えない機能がある。煙草、ようはタバコだ。理屈を付けるなら、無害なタバコを研究するうちに、ナノマシンの技術レベルが上がり、タバコ産業がナノマシン企業として覇権を取った世界の話だろうか。ワカバは明らかに人間なので、地球外生命体ではなく、宇宙に進出した人類だろう。なのでグローバル企業になりつつあるJTが開発したことにしておく。
衰亡した地球を複写する研究者が単独行、というのはどういうことなのか。ワカバは地球に帰ってきた風ではなく、宇宙生まれ宇宙育ちの反応を見せる存在として描かれている。何世代経っているのか不明だが。
最初の人ことリリは、建造物の複製の過程でサルベージされた存在のようだ。10歳程度の外見、おそらく子供ながらケムリクサを自在に操る。ワカバが過労死しないようにケムリクサで何かを生み出そうとして、ケムリクサの暴走を招く。物語を通じた脅威として立ちはだかる赤い木と根、さらに霧は、リリが生みの親だったのだ。
そんなリリを、ワカバは決して叱らない。むしろその才能を褒めさえする。最終的な味のイメージが固まれば材料と調理法が見える天才料理人に当惑したかのように。ケムリクサの暴走は、ワカバのためを思ってしたことの結果。それに対してワカバはただ感謝を伝えるだけだ。
ワカバはリリをケムリクサで安全な場所に転送し、自身は解決に向けて赤霧の中に飛び込んでいく。ワカバに会う。その目的のために、リリはケムリクサを駆使してリンたちを生み出し、思いをつなぐ。
善意には感謝を。子供には称賛を。これがケムリクサ11話で受け取れたメッセージだ。
子供を特別な存在として庇護する。それは人類が進化のために守ってきた原理原則のひとつ。技術革新で失われつつある前提でもある。通過儀礼は単なる儀式ではなく、叡智の結集だという事実を忘れがちな今だからこそ胸に刺さる。
物語の時間軸で現在のわかばは、子供扱いされる存在として歩んできた。成長を見せたものの、リンよりも子供だったはずだ。リリとワカバの関係と逆転した状態から、ケムリクサの物語は始まった。
わかばとワカバの統合は、リンたちの統合と合わせて結末として提示されるはず。ケムリクサというタイトルが、すべてを導いてくれるはずだ。#たつきを信じろ
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