無職転生Ⅱこと2期のスタートは第0話「守護術師フィッツ」から。6巻で1期が終わったので7巻からと思いきや、まずは3巻と4巻の番外編から始まった。アスラ王国第二王女のアリエルとシルフィの再起と覚醒を描くプロローグだ。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
アスラ王国の王族の庭園で、突如現れた魔物に襲われた第二王女・アリエル。魔物の手によって護衛が倒れる中、そこに現れたのは…!? それから月日がたち、王位継承の権力争いの空気が渦巻く王宮に、“無言のフィッツ”と呼ばれる人物の姿があった。
https://mushokutensei.jp/story/2-00/
まさかの番外編スタート
シルフィの落下シーンから始まるのかと思いきや、ファーストシーンはアリエル様から。アリエル・アネモイ・アスラ、ということで、アスラ王国の第二王女だ。夜中に目を覚まし、窓の外を見やる。実はこの後のシーンとの時間軸があやふやなのだが、シルフィ落下の後だと思われる。
無職転生Ⅱ、のタイトルコール後、ようやくシルフィの落下シーンだ。ここから先は、のっけから大胆にアレンジを加えてきた。二つの番外編のミックスだ。まさに0話である。
原作では、シルフィは落下の最中にあらゆる魔術を使って衝撃を和らげようとする。水、風、などなどを試行錯誤するも、両足骨折だけに止めて地面に激突。自分を治癒魔術を直しつつ、アリエル一行を魔物から守る。それぞれ小説版3巻と4巻の番外編に描かれている。
アニメ版では、Aパートはアリエル様と守護術師のデリック・レッドバット、守護騎士のルーク・ノトス・グレイラットルークの3人がお茶をするシーンから始まる。
アリエルは第二王女なため、王位継承者としての自覚は無い。王位を諦めた姿勢をたしなめるデリック。アリエルとルークが話しているのは猥談なのだが、アニメ組からすると意味不明かもしれない。まあ、意味不明な会話をする変態同士なのでそれはそれでアリだろう。
残念な原作改変
そこに魔物が現れ、ルークは一瞬ではじき飛ばされる。デリックは「必ず王になりますよう。ルーク!あとは任せたぞ!」といって立ちはだかり、あっさり横殴りにされる。
そこにシルフィが絡んでくる。落下先が魔獣になっており、落下の衝撃を打撃力に転じて倒してしまう。尺の短さが凄い。
デリックの死は、アリエルが王位を目指すきっかけとなっている。ただ詠唱をする間もなく瞬殺されただけの描写になっているので、登場時間の短さもあって何とも重みが無い。せめて向きをそらすために魔術を使うとか、逃げる隙を作るとか、そんな描写が欲しかった。
原作では、魔術の詠唱を始めようとするも間に合わないと判断。とっさに立ちはだかり、ターミネートボアに吹き飛ばされ、アリエルに介抱されながら「どうか、王に、王になられてください」と懇願するのだ。守護術師をどうせお飾りだと軽んじていたアリエルが、自身への忠誠を持つものの献身を眼前にして覚醒するシーンとして成立する工夫がなされている。
アリエルの覚醒
倒したものの不法侵入ということで、アリエルはシルフィに「このサングラスをかけて」と身元を隠して「フィッツ」として仕えるようにうながす。覚醒したアリエル様は第一王子のグラーヴェル・ザフィン・アスラとその一派の上級大臣ダリウス・シルバ・ガニウスに警戒されるようになる。
アリエルの寝所に招かれるフィッツさん。百合展開というわけでもなく、悪夢を見ないようにと一緒に寝るだけ。そこに現れるダリウスの性奴隷兼暗殺者。風魔法で応戦するフィッツが吹き飛ばし、わずかにナイフの毒がかすっただけで済む。
と、アニメ版だとそんな感じだが、無詠唱で解毒魔法をかけたからこそ助かった旨が原作では説明されている。無詠唱の特徴を巧く描写するのは難しいので、そこはやはりデリックのシーンで救ってほしかった。わずかに詠唱を始めて止める、とか、杖を構えて口を開きかけて止める、とか。
さて、命を狙われるアリエル一行は留学に向かう。そしてルーデウスとラノア魔法大学で出会うことになる。
次回はようやく7巻、失意の魔術師から
第零話、ということで、正直ここでやる話か?とも最初は思った。とはいえ、1期最終回で前を向き始めたルディのシーンから、いきなり失意の魔術師――荒れまくりのルーデウス、では落差がありすぎる、ということなのかもしれない。
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