1話で割と攻めていた「その着せ替え人形は恋をする」。2話で感想書く気がおきなかったらどうしようと思っていたが、きちんと原作とは違う魅力を追加してきてくれたのでまだ続けることに。
ネタバレ回避のあらすじは以下。
STORY
海夢の熱意に打たれ、衣装作りに協力することにした新菜。海夢が大好きだという美少女ゲーム・通称“ヌル女2”に登場する黒江雫のコスプレ衣装を作ることに。まずは採寸から取り掛かる約束をするが、週末に突然、約束の日まで待てないという海夢が新菜の家にやって来る。
STAFF
脚本
冨田頼子
絵コンテ
平峯義大
演出
平峯義大
作画監督
伊藤弘樹、村井夏織
2話はコス衣装の制作を承諾した新菜の店舗兼自宅に海夢が押しかけてくる水着回。和室と水着とかいう攻めたシチュエーションなので、ほとんど改変なくまあ原作そのままである。
2話での味付けは、海夢のギャップの強調だ。
服をたたむ海夢
衣装づくりは採寸から、ということで、本来は下着でやるところを海夢は水着で切り抜けようとする。
原作では服を脱ぎ捨てた光景の描写はあるものの、その後は採寸が終わって着替えるまで服は出てこない。
アニメ版では、きちんとたたんであるカットが挟み込まれている。
新菜は海夢の服をたたんであげるキャラではない。それどころか指一本触れられないだろう。なので海夢がテキパキとたたんだものと思われる。
いきなり休みの日に新菜の住所を「五条 雛人形」でググって突撃する行動力との対比として、たたまれた服がある。しっかりしているな、と思わせるわけだ。
しかも服飾に対するリスペクトの補強にもなる。コスプレ衣装への愛はクリエイティブへの愛でもある。自ら気に入った服を丁寧に扱いつつ、いきなりハンガーを要求しない分別はある、というわけ。
曲線美を強調する原作改変
海夢の採寸シーンは、女性の曲線美を堪能するフェティッシュなシーンだ。原作との違いに着目してよく見ると、服飾用の採寸メジャーが角型になっている。
原作では丸形のタイプのメジャーである。自分が出会ってきた採寸用メジャーはどれも丸形だった。手のひらの中で繰り出す際の収まりもよい。
だがアニメ版ではなぜか角型である。単に作画資料が角型で何も考え無しに角型で描かれている可能性はあるが、そこに直線的な男性と曲線的な女性の対比を際立たせる、という意図を見いだせる。
2話で曲線美を持つのは海夢だけなのだ。
和室と海夢
採寸は海夢に触れるか触れないかで進めていくため、動揺しっぱなしの新菜である。唯一、海夢が顔を赤らめるのは、股下の採寸の時だけだ。
メジャーを下から海夢の股間に向かって繰り出すとき、新菜の手が迫る気配にさすがの海夢も動揺する。赤くなった顔を見た新菜はエアコンをつけ始め、今年も暑くなるんですかね、と世間話を始める。
海夢は顔を背けつつ、「…かもね」とやや声を震わせながら答える。
アニメ版では、原作では分かりにくかった西日らしき陽光が和室を満たしている。
障子の直線と海夢の曲線の対比が美しい。角型メジャーの効果に続き、格子の上の海夢という魅力が最大限生かされているシーンだ。
自室に海夢が来る動揺を強調する構図
店舗兼自宅の場合、大抵は1階の奥か2階が自室になる。海夢はいきなり五条くんの部屋2階?と上がり込もうとする。
まさか海夢が来るとは思わない五条は、布団は引きっぱなし、道具は出しっぱなしと、何の準備もせずに玄関に出る。そこに海夢が手土産付きで来た。追い返せない、という思いの次に来るのは、あの部屋に海夢が来る、という動揺だ。
アニメ版では、その気持ちを、2階からのカメラアングルで巧みに伝えてくる。
2話も原作を補いつつ、きちんとした構成の脚本と演出で仕上げてきた。世界が広がる映像化が続く限り、感想を書き続けることになりそうだ。
その着せ替え人形は恋をする 1巻
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