ソードアート・オンライン アリシゼーション 第13話「支配者と調停者」感想 閃光のアドミニストレータ

1期最終話はアドミニストレータとカーディナルの深堀り回

ソードアート・オンライン アリシゼーション(SAO) 第13話「支配者と調停者」は、アドミニストレータとカーディナルの戦闘シーンを挟み、世界を調停しようとするカーディナルとその仲間たち、そして主に初見の視聴者が塔バトルを理解するための準備回。ネタバレ回避のあらすじは以下。

《セントラル・カセドラル》の大図書室に隠遁する少女カーディナルに助けられたキリトとユージオ。彼女の正体は仮想世界《アンダーワールド》の秩序の維持を司る自律型プログラムだった。アドミニストレータの過去をはじめ、《公理教会》や《禁忌目録》の成り立ちをキリトに語り始めるカーディナル。驚きを隠せないキリトだが、更なる事実――《アンダーワールド》に迫る恐るべき危機を聞かされる。

ソードアート・オンライン アリシゼーション 第13話「支配者と調停者 」
脚本:木澤行人、中本宗応
演出:木村 寛
総作画監督:西口智也
作画監督:井本一彰、古住千秋、浅井昭人、みうらたけひろ、五反孝幸、熊川ありさ

https://sao-alicization.net/story/13.html

始まりましたアリシゼーション1期最終回。アドミニストレータとカーディナルの伏線回収が延々と続くスタートで、あまりの単調さにちょっと心配になる。

冒頭、アドミニストレータはフラクトライトの寿命に気づき、カーディナルをわが身のコピーとして利用しようと画策。コピーが完了したその刹那、当然のようにカーディナルさんがroot権限を奪取。まずは詠唱で互いに勝負し、アドミニストレータが神聖術を封じて物理で殴る戦闘にスイッチ。Web版ではカーディナルの肉体がアドミニストレータのそれより小さいので不利、という下りが言葉で語られるが、「この体では奴に勝てない!」とカーディナルの嘆息で済ませる。戦闘シーンのスピード感の中で状況を説明する工夫が見受けられる。

ちょっと閃光ことアスナさん入ってるアドミニストレータさん。さすがに…

200年待ったカーディナル…って長いか?

アドミニストレータと戦い、一敗地にまみれたカーディナルは図書室に避難。場面は図書室のカーディナルとキリトの会話に戻り、ベルクーリを始めとする整合騎士を生んだ経緯を語らう。

カーディナルは、アンダーワールドの分析結果を披露し、現実世界の意図、汎用AIを創造するための負荷実験にたどり着く。語り手がカーディナルなのでキリトは聞き役だが、Web版では現実世界の住人としてラースと菊岡の意図を見抜いている考察者としての役割を与えられている。

キリトに対して、アンダーワールドの消去と、10個ほどのフラクトライトの持ち出しを提案するカーディナル。自らの欲望に忠実な貴族としてのフラクトライトを持つカーディナルが、なぜ生き残ろうとしないのか。キリトがそう問いかけると、カーディナルサブプロセスの目的はアドミニストレータの排除と世界の正常化=完全なる虚無への回帰だと返す。

「いや、違うかな。わしにも欲望はある」

とカーディナル。ここでは「違うかな」というセリフを年端のいかない少女として発する。システムとしてのカーディナルと人としてのカーディナルを演じ分けられるかどうかがカギを握るシーンだ。

キリトを近くに呼んだカーディナル。すっとキリトにもたれかかり、手を回して抱きしめるように言う。

「やっと…報われた。私の200年は間違いではなかった」

とわずかに涙を見せると、5秒後にはもう賢者モードなカーディナル。

アンダーワールド内で200年間待った。名シーン成り得るにはちょっと年数が少ない。1億年ボタンを知っている我々にとって200年なぞエルフの瞬きに過ぎない。最近の孤独はもっと年数が長い。200年程度でやけに重みをもって語られると違和感がある。こっちが麻痺してるわ。

200年を悠久の時として受け止めたと仮定しよう。それでも4クールとか果てしない長尺を得ているのに、この溜めの無い演出はもったいなすぎる。確かにWeb版でも文字数としてはあっさりしたものだが、脚本と演出でアニメーションとして万感の思いを込める、抱かせるのが優れた脚色だ。プログラムとしてのカーディナルとフラクトライトとしてのカーディナル。両者をじっくり描くことで、アンダーワールドの存在感が出るのに、残念。神回になり損ねた感がある。

リリース・リコレクション=プログラミング、のはずだが

一通りの解説シーンが終了し、本を読んで待っていたユージオくんと合流。対アドミニストレータ戦への戦術が語られる。ここでアリスと戦えないと泣き言をいうユージオ。カーディナルはシステムのプローブとなる短剣を与える。認証無しにコマンド送り放題。これでアリスを正気に戻せるという。TELNETかよ。

ここでブキ、じゃなかった武器の限界突破の裏技が明かされる。武装完全支配術。整合騎士が「リリース・リコレクション」と言ってるあれね。Web版だとフラクトライトが生み出すオブジェクト、つまり記憶の集合が現実世界の既存原則を外れた事象を生み出す仕組みがここで明かされる。

アニメの方はあっさりしたもので、カーディナルに促されてギガスシダーと青バラを思い浮かべるキリトとユージオ。カーディナルがそれをコマンド化し、武器のマテリアルが持つ記憶を解放する長文の呪文をキリト達に授ける。Web版だと3時間近くかけて自分でプログラムを書く。プログラム書けるマンとしてのキリトさんのターンだが、アニメではずいぶん受け身ですね。

やっぱり次回から塔バトル

準備万端、図書室の扉が開き、セントラル・カセドラルのレッドカーペットを踏みしめる二人のカットで1期はEND。

次回は「紅蓮の騎士」。ゼノギアスの戦闘シーンで有名なあの曲が頭をよぎる。

長々とアンダーワールドの理を語ってきたここ2回。それでもかなり駆け足で、原作を知らないと単なる脇の甘いファンタジーにしか見えないのではないか。システムとしてのアンダーワールドを解説する機会は、今後訪れるのだろうか。センスオブワンダーを感じさせるには欠かせない要素なのだが。

コメント

タイトルとURLをコピーしました